天然記念物「首里金城の大アカギ」害虫ヨコバイ被害 枝も切れず那覇市苦慮


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 ヨコバイは沖縄本島各地にある国や市町村指定の天然記念物のアカギにも被害をもたらしている。

 那覇市文化財課は5月25日に国指定天然記念物の「首里金城の大アカギ」を構成する5本全てに葉の変色や落葉が起きていることを確認した。「大アカギ」は以前から訪れる人々によって土が踏みしめられ、根の生育に悪影響を与えていた。市は2020年度から国の特定事業推進費を活用し、根を保護する木道の整備に取り組んでいる。だが大アカギを脅かす新たな問題が急浮上し、対応に苦慮している。市の担当者は「天然記念物なので街路樹のように枝を切るのではなく、肥料を与えて様子を見ようかと検討している」と話した。

 与那原町与原区にある町指定天然記念物「久葉堂大アカギ」でも4月末ごろから一部の葉が黄色に変色し、落葉している。葉や幹には最大で6ミリにもなるヨコバイがぎっしりと付着していた。町生涯学習振興課の宮城明恵さん(37)は「元々樹勢が弱っていたため、16年から周辺の土壌を軟らかくし、肥料を入れて回復の途中段階にあった」と説明する。「ヨコバイによって再び悪化する可能性がある」と声を落とす。町では9日から葉を芽吹かせるために実を除去する作業を始めている。回復しなければ「駆除剤を使用することも考える」と強調する。

大アカギ=2017年、那覇市首里金城町
アカギの幹にとまるヨコバイ科の虫