辺野古新基地工事を再開、沿岸に土砂投入 県議選5日後、玉城知事反発


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
名護市辺野古の沿岸部で再開された、米軍普天間飛行場移設に向けた新基地建設工事=12日午前

 沖縄防衛局は12日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた新基地建設の工事を再開した。工事関係者の新型コロナウイルス感染を受け、4月から約2カ月工事を止めていた。沖縄県は工事を再開しないよう求めていた。7日投開票の県議選では新基地建設に反対している当選者が過半数を占めた。県議選から5日後の工事再開に、玉城デニー知事は12日の定例記者会見で「大変遺憾だ」と反発し、工事中止を求めた。

 防衛局は12日朝から工事を再開した。退去していた複数の作業船が工事現場に戻った。午後には辺野古沿岸部の埋め立て区域に土砂を投入した。土砂を工事現場に揚げるのに既設の護岸を使った。防衛局によると、投入した土砂は台船3隻分。護岸を造成する作業や赤土対策用の排水路を造る作業もした。

 新基地建設に反対する市民らは、小型船2隻とカヌー7艇を大浦湾に出して工事再開に抗議した。米軍キャンプ・シュワブのゲートからは工事用の資材を積んだ車両111台が入った。市民ら数十人が座り込み「工事の予算をコロナ対策に回せ」「民意にそぐわない工事はやめろ」などと声を上げた。

 安倍晋三首相は12日、記者団に「県議選では自民党の議席をだいぶ増やすことができた。普天間飛行場の固定化は避けなければならない。世界の中でも大変危険な基地といわれる普天間飛行場の移設を一日も早く達成したい」と述べた。

 防衛局は週明け、琉球セメントが所有する名護市安和の桟橋や本部港塩川地区からの土砂搬出も再開する予定だ。4月16日に工事関係者1人の感染を確認し、同17日から工事を中止。その後、受注業者や米軍と協議し、準備を整えた。

 県議選では新基地建設に反対する当選者が中立の公明、保守系無所属を含めて29人だった。新基地建設に反対する勢力は2008年の県議選以降、多数を占めている。