生活保護相談7倍 3月沖縄県内16件→4月117件 コロナ困窮「補助終了後に増加も」


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 新型コロナウイルス感染拡大に関連した生活保護の延べ相談件数が、沖縄県内で4月に少なくとも117件、5月に89件あったことが分かった。3月は16件で4月は約7倍となった。コロナ関連の生活保護申請件数(世帯数)は3月に5件だったが、4月は46件に増えた。新型コロナの影響で収入が減少するなど、生活に困窮する世帯が増えている状況が浮き彫りとなった。

 琉球新報が県内の全市と町村部を担当する各福祉事務所に取材し、新型コロナに関連する生活保護の相談や申請の件数を記録していた20市町村の値を合計した。那覇市の相談は3月が13件、4月が84件、5月が63件だった。申請は3月が5件、4月が25件、5月が17件。沖縄市は3月に相談が1件だったが、4月は13件に増加した。宜野湾市も3月は相談が2件だったが4月は10件に増えた。他の市町村の相談・申請は3~5月を通して0~3件にとどまった。

 5月の相談・申請が4月より減少したことについて、那覇市の担当者は「さまざまな給付金が出てきているので、それらを先に活用しているのではないか」と指摘した。家賃を補助する住宅確保給付金などの利用は複数の自治体で増えており、宜野湾市の担当者は「(家賃補助期間が終わった後などに)今後、生活保護の相談が増加すると思われる」との見方を示した。

 県内41市町村の生活保護に関する相談件数は、コロナ以外の事例も含めると4月は762件で前年同月比で124件増えた。4月の申請は前年同月比105件増の440件だった。那覇市などのコロナ関連の件数が、全体の増加に一定の影響を及ぼした。5月は県内の全相談件数は前年同月比77件減の602件、申請は同31件減の339件だった。

 那覇市に相談に訪れた人の業種は飲食業が31%で最多だった。無職が18%、観光業が15%、運送業(タクシーや運転代行など)が12%と続いた。

 無職の人の中には「就職活動中だが仕事が見つからない」という声や、高齢者で「コロナの影響で子どもが生活費を援助できなくなった」という事例などがあった。年代別では60代が24%、40代が18%、50代が16%となった。