県産モズク 海域で違い 4ヵ所で異なる遺伝子 OISTと県分析 安定生産へ応用期待


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 沖縄科学技術大学院大学(OIST)と県水産海洋技術センターの研究チームは26日、オキナワモズクのゲノム(全遺伝情報)解読に成功したと発表した。県内の各海域で育つモズクの株はそれぞれ固有の遺伝子を2~3%ほど持っており、別種に近い亜種であることや進化の過程が明らかになった。また、解読がモズクを安定的に生産するための交雑の手掛かりになるとしている。26日発行の英国の科学雑誌に掲載された。

 研究では勝連、恩納、知念で採取された枝の大きさや長さ、硬さなどが異なるモズク3株と「イノーの恵み」として知られる品種で、伊平屋周辺の海域で見られる株のゲノムを解読した。

 その結果、研究チームは調査した4株について、イノーの恵み、勝連株、恩納株、知念株の順で進化したことを解明した。4株は、それぞれ固有の遺伝子を2~3%ほど持っていることを発見した。これによって各株が別種またはこれに近い亜種である可能性を示した。亜種とは、米を例にすると日本米とタイ米のように同一種でありながらも異なる固有の特徴を持つ。

 今後、モズクの安定した生産への応用も期待される。海水温の影響などにより、オキナワモズクは毎年、生産量が変動しているが、ゲノム解読によって交雑が可能になれば、海水温の上昇に耐えられる新たな品種の開発にもつながる。

 研究に携わったOISTの西辻光希研究員は「研究によって交雑のための基盤ができた。今後それぞれのオキナワモズク株をブランド化できる可能性もある」と話し、期待を込めた。