台湾当局「尖閣」抗議への支持示さず「ルール違反なら罰則」 石垣市の地名変更に


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尖閣諸島(資料写真)

 沖縄県石垣市が尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更することに対し、台湾の宜蘭県議員らが今月中にも尖閣諸島周辺での抗議活動を計画している。ただ、台湾政府や宜蘭県内最大の漁協「蘇澳(すおう)区漁会」は、抗議活動に対して積極的に支持する態度を示しておらず、活動が実行できるかどうかは不透明だ。

 尖閣諸島を巡っては、2012年に日本が国有化した際、台湾の活動家が抗議船で尖閣周辺の日本領海へ侵入した経緯がある。当時、国民党政権だった当局は、特別処理を要する重大事項として取り扱い、台湾からの抗議船の出港を認めた。

 しかし、今回の抗議活動に関しては、民進党政権下の当局は日台間の友好関係の維持などを重視しているため、活動家らの出港を特別事項として処理せず、尖閣周辺海域へ行くために利用が求められる作業船へ乗船する「臨時船員証」の発行も認めない態度を示した。

 抗議船が出港を強行する場合の台湾側の対応について、漁業署(水産庁)は本紙の取材に対し「そもそも臨時船員証というものは存在しない。活動家らがルール違反をすれば、事後に罰則が科せられる」と答えた。

 今回、抗議活動をする場合は漁業者の支援も必要となるが、「蘇澳区漁会」は現時点事態を静観しており、出港の意思も表明していない。

 同漁会の陳春生(ちんしゅんせい)総幹事は「政府関係部署が今回の抗議活動を主導すれば、われわれも(出港を)検討するが、今回は一部の地域だけが動いているので、成り行きを静観したい」と抗議船の出港に消極的な姿勢を示した。

 一方、抗議活動計画を主導する宜蘭県議会の野党議員・蔡文益(さいぶんえき)氏は本紙の取材に対し「われわれは各方面から圧力を掛けられている。抗議活動に賛同する漁業者にも(尖閣諸島周辺への)出港は中止するよう忠告が来ている。それでも私たちは釣魚台(尖閣諸島の台湾名)の主権を守るため、事前の現場調査を実施したい」と強調した。
 (呉俐君)