沖縄の景気、過去最低更新 宿泊・飲食など「人余り」 海邦総研4~6月


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 海邦総研(新崎勝彦社長)は8日、4~6月期の県内景気動向調査結果を発表した。前期(1~3月)と比較した景況判断BSIはマイナス68・2で、前期のマイナス36・9から31・3ポイント低下し過去最低を更新した。新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、全業種で前期を下回った。景気判断は2期連続で「後退している」とした。需要の減少を受けて、従業員数の指数はマイナス2・9と初めて「過剰気味」超過となった。7~9月期はマイナス9・4を見込んでいる。

 業種別では、旅行・宿泊業と飲食サービス業で、ともにマイナス100を記録した。回答した全ての企業が「下降」と答えた。飲食サービス業は売上高、経常利益もマイナス100だった。観光関連産業の多くは特別貸し付けの利用、資産売却による資金確保やコスト削減などで急場をしのいでいるという。

 県境をまたぐ移動の自粛要請が解除された6月19日以降、観光客が戻り始めておりハイシーズンの7~9月には一定の回復を見込んでいるが、第2波を懸念する意見が非常に強いという。

 製造業はマイナス83・3、その他のサービス業はマイナス67・6だった。前期唯一プラスだった情報通信業も、県外からのホームページ作成依頼減少やイベント中止の影響を受け、46・8ポイント低下しマイナス41・2だった。

 県内では前期まで人手不足が続いていたが、新型コロナウイルスによって急激に需要が消失したことで、複数の業種で従業員の過剰感が生じている。旅行・宿泊業ではマイナス53・3、飲食サービス業ではマイナス52・9と過剰感が強く表れている。国の支援制度を活用して雇用を守ろうというスタンスの企業が多いが、観光バスなど一部の企業では解雇や非正規従業員の雇い止めなどの動きが生じているという。