ネットの偏りと「不正選挙」 モバイルプリンスの知っとくto得トーク[167]


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5日、東京都知事選の投開票が行われ、現職の小池百合子氏が約360万票を獲得し当選。2期目を決めました。

近年行われた大きい選挙と同じように、今回の選挙でも各候補者を応援する人たちはSNSを駆使してアピールを行いました。

 

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選挙終了後、「ネット上で誰も応援していなかった小池氏が当選するのはおかしい。これは不正選挙ではないか?」という意見がSNSに投稿されました。

これは毎回選挙終了時に出てくる根拠のない情報で、時には「開票に使う機械を安倍首相が操作して、有利な結果になるようにしている」と、具体的な名前を挙げ指摘する人もいます。

いずれにしても、なんら証拠がない「陰謀論」【※1】です。

 

※1 陰謀論 … 事実に基づかない、想像から生まれた大きいストーリー。「○○君は宿題をしていない」などの個人的な話ではなく、「世界を支配しているのは▲▲の人たちだ」と話のスケールが大きいのが特徴です。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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こうした意見が出る理由として「エコーチェンバー現象」【※2】が考えられます。

自分と似た考えの人とSNSで交流をしていると、同じ意見でSNSが埋まります。それをずっと見ていると、その考え方の人がほとんどだと勘違いしてしまいます。

しかし、実際は世の中の一部。そのギャップで「みんな○○候補を応援していたのに、当選したのは▲▲候補。これはおかしい」となってしまうのです。

SNSが偏るのは仕方ないのですが、最低限「偏っている」と意識することが大事です。

こうした現象は選挙だけでなく、自分の好きなアイドルや製品・ブランドなどでも発生することがあるため、偏りを意識してSNSは使いましょう。

 

※2 エコーチェンバー現象 … SNSで似た考えの人たちだけで意見交流を行い、どんどん過激になっていくことを表した言葉。エコーチェンバーを避けるためには、違う考えの人と交流したり、違う意見に耳を傾けることが必要です。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

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