【豊見城】米統治下の1968年、「高等弁務官資金」でかやぶきからコンクリート造りの公民館に建て替えられた豊見城市嘉数の嘉数公民館が、老朽化のため建て替えとなり、今月中には取り壊し作業が始まる。増改築を繰り返し築51年の歴史ある公民館の建て替えに向け区民らは6月から大掃除や引っ越し作業に汗を流している。嘉数自治会の比嘉邦治会長は「歴史が詰まった公民館が無くなるのは惜しいが、建て替えは次世代へのバトンタッチになる」と汗を拭った。
1947年の「ムラヤー」と呼ばれるかやぶき屋根造りの建物が嘉数公民館の起源。
比嘉さんは小・中学生の頃「友達と屋根にボールを投げたり、陣取りをしたりして遊んでいた」と懐かしむ。大型台風が襲来する度にかやぶき屋根が吹き飛ばされ、区民総出で修復に当たった。68年12月に当時の沖縄で最高権力者の地位名を冠した「高等弁務官資金」で建て替えられた。
同資金によって県内各地に公民館が建設され、伝統行事や盆踊り、憩いの場として欠かせない拠点となった。比嘉さんは「公民館と地域に育てられてきた」と感謝する。
公民館の建て替えは、国と嘉数自治会の予算により今月中に取り壊され、10月ごろに着工、来年4~6月ごろ新公民館が完成する予定。
「子どもたちのために平和学習室も造れたらいいな。みんなが集える場所になればうれしい」と比嘉さんは新公民館の落成式を楽しみにしている。
(照屋大哲)