昼食は前を向いて、おしゃべりはしないで…保育園、飛沫対策に腐心 認可外に対策必要【#コロナとどう暮らす】


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飛沫を防止するため、前を向いて給食を食べる園児たち=那覇市の曙こども園

 「先生の方、向いてね。静かに食べようね」。那覇市にある曙こども園の昼食時、園児が一台のテーブルに2人ずつ座り、前を向いて食事をしている。話したそうにそわそわしている子もいる。新型コロナの流行前は4人ほどが向き合って給食を食べていた。園は飛沫(ひまつ)防止のため、前を向いておしゃべりをしないように指導している。

 大竹福祉会(高江洲和男理事長)が園を運営している。手洗い、うがいの指導を徹底するとともに、せきがでそうになったら口元を押さえるようにせきエチケットまで含めて教えている。保護者への便りには「毎日ハンカチを持たせて下さい」との記述もある。

 対策には園と保護者の連携が欠かせない。園は「おりこうメール」という保護者との連絡網を駆使する。夏場の今、外遊びをする際、保育士の熱中症予防のためにマスクを外すことがあるとも伝えている。

 子どもの命を預かる保育園は感染対策に頭を悩ませている。厚生労働省は低年齢の子どもには安全のためマスク着用は求めないとしているため、飛沫対策は急務だ。「密」状態を避けるための窓を開けての換気も、防犯面から気軽に取り組めない状況にあるところもある。

 厚生労働省のガイドラインは「行事での感染対策の工夫」や「保護者との連携」を現場に求めている。

 保育園のように幼年期の子どもが過ごす場では、保育士と園児との「密」を避けられない。ライオンの子保育園の末広尚希園長は「保育士との触れ合いは子どもの教育に必要不可欠だ」と話した。保育士のマスク着用も悩ましい。保育士の表情も子どもたちの成長に影響を与えているからだ。そのため口元が見えるプラスチック製の透明マスクの導入も検討している。また、プールなどの行事も縮小せざるを得ない。今年は感染防止の観点から、水に入るプールではなく水遊びに変更した。

 保育園は臨時休園すると、利用料の保護者負担分を日割りで減免している。認可園の運営者にはその分を国が補てんするため収入は変わらないが、認可外は対象外となる。そのため認可保育園が感染対策を検討している一方で、認可外保育園は資金不足から十分な対策をする段階に進めていない現状もある。
 認可外は認可保育園と比べても面積が狭いところもあり、「密」な環境につながりやすい。

 県認可外保育園連絡協議会の会長で、認可外保育園も運営する末広園長は「認可外保育園はコロナが流行する以前から経営が厳しく、感染対策の段階まで行けていない」と話す。
 県は5月に認可外保育園に10万円の支援金を打ち出した。これに対して末広園長は「焼け石に水程度で、認可園との差は埋まらない。大切な命を預かる場所なのに差が出るのはおかしい」と訴えた。(青山香歩)