GoTo「不明ばかり」「キャンセル増えている」沖縄の観光業者困惑 説明会もゼロ回答


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県内の旅行社や宿泊事業者ら観光関係者を集めて実施した「Go Toトラベル」の事業説明会=21日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール

 政府の観光支援事業「Go Toトラベル」の開始が翌日に迫った21日、沖縄県内の旅行社や宿泊事業者を集めた事業説明会が初めて開かれた。県内観光事業者は夏休みの沖縄旅行需要の活性化に期待を寄せてきたが、事業者登録の手続きがいまだに始まらないなど、「見切り発車」に困惑が広がっている。

 沖縄総合事務局が主催した説明会は、浦添市のアイム・ユニバースてだこホールで開かれ、オンラインでの参加も含めて450社・団体が参加した。

 来県した観光庁の担当者が事業者に事業の内容を説明したが、国の支援を受けるための具体的な申請方法や参加要件などは示されなかった。旅行商品の割引の仕組みなど既に発表されている事業概要と同様の説明にとどまり、会場の参加者から「不明な点が多すぎる」との声が相次いだ。

 旅行社や宿泊施設などの事業者から割引価格の商品が発売されるのは27日から。それまでの宿泊分に関しては、旅行客自身が国に申請して還付を受ける仕組みとなっている。

 事業者が国の支援を受けるには、申請して登録を受ける必要がある。国は登録条件として「浴場など共用施設の人数・時間制限」「ビュッフェでの3密対策」など7項目の感染対策を実施することを挙げている。だが、具体的な基準やチェック方法が示されておらず、自社の施設が対象になるのか判断できない状況がある。旅行客にとっても、宿泊先の施設が割引の対象となっているかを確認できないため、旅行意欲を損なう可能性がある。

 質疑応答で、恩納村の宿泊事業者は「事業の対象になるのか問い合わせが来ているが、こちらも答えられない。お客さんも不安に感じている。もう連休に入るが、キャンセルも増えている状況だ」と訴えた。

 ほかにも多くの手が上がったが、観光庁の担当者は「まだ調整中で、決まり次第早急にお知らせする」との答えに終始した。

「お客様に迷惑かかる」

 「不明な点しかない」―。22日から始まる政府の「Go To トラベル」だが、旅行社や宿泊事業者向けの説明会が開かれたのはようやく前日の21日になってだった。その説明会でも観光庁担当者から具体的な回答はなく、参加者から「何も決まらない状態でスタートするのか」「お客さまに迷惑が掛かる」と不安が広がった。

 県内旅行会社の担当者は「明日から始まる割に決まっていないことが多い。これでは利用するお客さんも不安だ」と困惑した様子だ。説明会でも疑問は解消されず、会場を出た後もスマートフォンで自ら事業内容を調べていた。

 サンセットヒル・ホテルズ&リゾーツ(恩納村)の根本博文総支配人は「今日で全て決まると思っていたが、何も決まっていなかった」と肩を落とす。ホテルには、客から割引キャンペーンの対象になるのかという問い合わせがあるというが、事業の詳細が決まっていない状態で即答できない状況だという。

 「Go Toトラベル」の対象施設となるには国が定める基準の感染防止対策をとる必要があり、満たさない場合は登録取り消しとなる。だが、21日の説明会の時点においても事業者登録の方法さえも国は準備中というありさまで、事業者は事業の対象になるのか確約のない状態で進めなければならない。根本総支配人は「もし対象外となった場合、お客さまに補助金が下りなかったらどうなるのか」と不安げだ。

 全国旅行業協会沖縄支部の崎山喜孝支部長は「予想通り、はっきりしない説明だった」と振り返った。