初のコロナ患者に「いつかはと」 宮古島市民、懸念の現実化に「怖い」


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 【宮古島】新型コロナウイルス感染者が初めて確認された宮古島市では29日、島内に不安が広がった。「まん延したら終わりだ」「時間の問題だと思っていたが心配だ」など感染拡大を恐れる声が上がった。宮古島市は午後、緊急会議を開き、感染対策や指標の見直しを進めるなど対応に追われた。多良間村民も「通院などで宮古に行かなければならず怖い」と懸念を示した。

女性職員の感染が確認された県立宮古病院=29日午後、宮古島市平良

 宮古島市の新型コロナ対応病床は現在、県立宮古病院の3床となっている。県は結核病床やICUなどの活用も視野に入れるが、患者が急増した場合は地域医療に影響が出る可能性もある。市内の自営業男性(61)は宮古病院で感染者が出たと知り「万が一、病院でクラスターが起きたらと考えると恐ろしい」と表情を曇らせた。

 緊急事態宣言の解除を受けて宮古島には県内外からの観光客が徐々に増え、市内の人出も増加する。会社員の男性(35)は「いつか出るとは思っていた。マスクをしていない人もいて緩んでいる気がする」と説明する。市内で宿泊施設を経営する60代男性は感染確認による自粛の嵐を警戒する。「また自粛になるとウイルスにやられる前に死んでしまう」と頭を抱える。宮古島市社交飲食業生活衛生組合の奥平玄信組合長(64)は「もう営業自粛はできない。生活を考えると営業するしかない」と強調した。

 宮古島市内の感染者の勤務先や、行動履歴など詳細な情報は県から市に伝えられていなかった。下地敏彦市長は報道陣の質問に「聞いてない。どういうことだ」と困惑を隠さなかった。下地市長は県内外の渡航自粛について「基本的に県と歩調を合わせる」とした上で、市民の島外渡航については「不要不急以外は極力、控えていただきたい」と求めた。