九回裏2死。八重山高校の砂川羅杏(らいあん)投手が、ゴロを捕球した一塁の東川平亮輔野手からトスを受け、一塁を踏むと同時に両手を上げて跳びはねた。直後、ベンチからチームメートがマウンドになだれ込み、一緒になって歓喜した。2日に行われた高校野球の県夏季大会決勝。新型コロナウイルスの影響で全国選手権大会(夏の甲子園)が開催されず、活動自粛などつらい時期を乗り越えて、八重山の球児が栄冠をつかんだ。ホテルでテレビ観戦した保護者たちも「よく頑張った」とたたえた。
夏の県大会で八重山が決勝に進むのは32年ぶり。保護者も優勝を信じ、現地に駆け付けたが、県内で新型コロナの感染が急拡大していることから、球場で観戦ができなかった。それでも気持ちで後押ししようと、名護市のホテルでテレビ観戦し、感染対策を講じた上で声援を送った。
4―1でリードして迎えた最終回は守備位置を大幅に変更し、ベンチ入りした3年生20人全員が出場を果たした。兼島兼哲監督は「子どもたちを信じていた」と全員で守り抜いた姿に目を潤ませた。
八重山父母会の伊志嶺隆会長は「感無量だ。八重山に元気を与えてくれた」と自分のことのように喜んだ。