高校でも君と歩みたい…障がい者「応援プロジェクト」 元同級生が実名会見した理由


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仲村伊織さんの高校入学を応援するプロジェクトを説明する元同級生の(右から)金城尋成さん、奥平輝さん、小倉悠河さん=5日、県庁記者クラブ
会見を見に来ていた仲村伊織さん(左)とじゃれ合う小倉悠河さん=5日、県庁記者クラブ

 知的障がいのある仲村伊織さん(17)の高校入学を応援するため、元同級生の金城尋成さん(17)、奥平輝さん(17)、小倉悠河さん(18)の3人が「Come Together」プロジェクトを始めた。障がい者の高校入学を巡っては、インターネット上で中傷が絶えない中、3人はあえて実名を出して記者会見し、思いを述べた。障がい者に対する誤解を解き、差別や偏見をなくし、共に生きられる社会を実現したいという3人の願いからだった。
 「周囲に知的障がい者がいない中で育ったから、誹謗・中傷のコメントをしてしまうのだと思う」。奥平さんは5日の会見で、学校に障がい者がいない環境の弊害を指摘し「若い時の経験は大人になっても生かされる。中傷をなくすためにも、まずは高校が立ち上がってほしい」と訴えた。
 3人も、仲村さんに出会う前は障がい者に対して偏見を持っていたと振り返った。しかし、中学校時代に一緒に過ごしたことで「普通の友達として見られるようになった」(金城さん)という。3人は障がい者と共に学ぶことで、周囲の生徒の成長につながると強調した。
 「中学まではできていたのに、何で高校ではできないの?」。仲村さんが高校入試に合格できないことに、3人は元同級生として素朴な疑問が湧いた。金城さんは自身が通う高校の教頭と、この問題を話し合ったことがある。教頭は仲村さんが合格できない理由について、学校の人件費問題を挙げたという。
 金城さんは高校側の考えについて「伊織が声を出すときは何かをしたい時だ。何をしたいのかは伊織が教えてくれるので対処できる。難しいことじゃない」と説明した。中学卒業後、ヘルパーとして仲村さんと一緒に過ごしてきた小倉さんは「コミュニケーションが取れないと考えるのは誤解だ。会見したのは、その誤解を解くためでもある」と語った。
 プロジェクトでは動画投稿サイトYoutube(ユーチューブ)やツイッターを活用し、情報を発信する。3人は「考えは人それぞれ。でも、障がい者にも学ぶ権利はある。発信しないと分かってくれない」と行動を起こした動機を語った。
 ユーチューブの動画には、プロジェクトに賛同する同世代が多数登場する。賛同者は県内外、海外にもいる。プロジェクトは始まったばかりだが、すでに若い世代では共感が広がっている。   (稲福政俊)