中城バイオマス発電所、完成まで1年 「CO2削減に貢献」 エネルギー地産地消へ


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うるま市に建設中の「中城バイオマス発電所」の意義などについて語る沖縄ガスの我那覇力蔵社長(左)と沖縄ガスニューパワーの大城邦夫社長=6日、那覇市の沖縄ガス

 うるま市の中城湾港新港地区工業団地内で建設が進む「中城バイオマス発電所」は、2021年7月に完成を予定している。最大出力4万9千キロワット、年間発電量は一般家庭約11万世帯分に相当する約35万メガワット時となる。成長の過程で二酸化炭素(CO2)を吸収する木質燃料を使うことで、全体のCO2排出量を差し引きゼロとする「カーボンニュートラル」となる。年間のCO2削減効果は推定約27万トンで、一般家庭約6万世帯分になるという。

 沖縄うるまニューエナジーが建設している。発電した電力は沖縄ガスニューパワーが引き取り、同社から工業団地内の各工場をはじめ一般に販売される。ニューパワーの大城邦夫社長は「電気料は現在より数%安くなる。工場団地への誘致活発化につながれば良い」と話した。

 ニューエナジー、ニューパワー両社に出資する沖縄ガスの我那覇力蔵社長は「木材は育つ過程でCO2を吸収するため、燃料として燃やす際に発生するCO2とプラスマイナスゼロとなる。環境負荷の少ない電力を提供できる。県外とは違い沖縄には電力卸売市場がないが、新電力が自前の大きな電源を持つことでより安い価格で提供できることも大きい」と話した。

 我那覇社長は、今後の構想について「畜産で発生するふん尿などはバイオマス電源として可能性があるが、現在は廃棄されている。地域と一緒になって小規模プラントを各地に造って発電すれば、廃棄費用がかからず事業となり雇用も生じる」と話し、エネルギーの地産地消を目指すとした。

 政府が非効率な石炭火力発電所の休廃止に向けて動くなど「脱炭素社会」への動きが加速している現状に「世界の流れは脱炭素の方向へ向かっている。なるべくCO2排出量の少ない電源からの電力を沖縄の系統に流し込んでいきたい」と話した。