嘉手納基地火災「対応できた」 米軍、地元不通知で見解


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
6月に発生した米軍嘉手納基地の火災

 【中部】6月に米軍嘉手納基地内の危険物取り扱い施設で火災が発生し、有害な塩素ガスが放出されたにもかかわらず、米軍が地元消防に事故の一報や詳細を報告しなかったことについて、米軍は「独自の消防力で対応できた」ことを理由に報告の必要性がなかったとする見解を示した。地元消防は迅速な情報共有を求めていた。同基地の第18航空団が15日までに本紙の取材に答えた。発生から約2カ月がたつが、事故原因の究明には至っていないことも明らかにした。

 嘉手納基地消防本部と基地周辺地域を管轄するニライ消防本部(嘉手納町、照屋圭一消防長)は米軍基地内外で火災が発生した際、活動を援助することを定めた消防相互援助協約を結んでいる。

 ただ、協約はあくまで自前の消防力で対応できず、どちらかが出動の応援要請を出した場合のみに協力体制を敷く取り決めとなっている。危険物の取り扱いを想定した日米合同の訓練を実施していないことも判明しており、実効性を疑問視する声も根強い。

 米軍は6月22日に基地内で発生した火災は「80人以上の消防士が出動し、迅速に現場対応することができた」ため、「ニライや沖縄市消防本部の応援出動は必要なかった」と回答した。再発防止策については「徹底的に調査し事故原因を明らかにした上で、類似事案が起こらないよう適切な対応を検討する」とし、現時点で具体策を明示する段階にないと説明した。

 米軍の回答を受けニライ消防本部警防課の當山亮課長は、米軍基地には弾薬や危険物など特殊な保管物も多く、実態は不透明だと指摘。「応援を要請しなかったとしても、基地外に影響を及ぼす可能性がある場合には速やかに情報を共有してほしい」と訴えた。

(当銘千絵)