全国と沖縄 支持率真逆【安倍1強政治と沖縄①】


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翁長雄志那覇市長=当時(手前中央)=らから建白書を受け取る安倍晋三首相(右端)=2013年1月28日、首相官邸

 「この7年8カ月、さまざまな課題にチャレンジしてまいりました。全ては国政選挙の度に力強い信任を与えてくださった国民の皆さまのおかげであります」。28日、首相官邸で記者会見に臨んだ安倍晋三首相は約7年8カ月におよぶ政権運営を振り返り、国民への感謝の意を表した。

 歴代最長記録を打ち立てた安倍政権は、高水準の内閣支持率と国政選挙での連勝を背景に「安倍1強」体制を築いてきたが、全国の選挙の中で数少ない苦杯をなめてきたのが沖縄だ。

 質問内容の違いなどで単純比較はできないが、本紙などが実施してきた県民世論調査を見ると安倍内閣の支持率は2014年4月を除き、おおむね10%後半から30%台で推移しており、政権の評価を巡る沖縄と全国の意識の差は大きい。県民の安倍政権に対する反発の強さが数字でも見て取れる。

 本紙が今年6月に沖縄テレビ放送やJX通信社と合同で実施した調査では、安倍内閣を「支持する」は18・7%。「支持しない」は66・3%だった。昨年2月に実施された米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票の直前に実施した世論調査では、「支持する」が21・2%、「支持しない」は65・3%だった。

 対照的に県民投票を実施した玉城県政を「支持する」は79・1%で、「支持しない」は16・8%となり、安倍内閣と玉城県政の支持率が真逆となる傾向にある。一方、同様の時期に共同通信が実施した全国世論調査の安倍内閣支持率は45・6%で、不支持は41・1%だった。

 県内での安倍内閣支持率の低さは、県民投票や知事選、国政選挙など各種選挙で示されてきた辺野古新基地建設「反対」の民意を無視し、埋め立て工事を強行している安倍政権に対する根強い不信感が背景にある。本紙などが実施した辺野古新基地建設に関する世論調査では毎回、6割後半から8割の人が建設に「反対」と回答している。

 また、2012年12月に第2次安倍政権が発足した以降に県内で行われた知事選や国政選挙では一部選挙区を除き軒並み新基地建設に反対する候補者が勝利している。

 しかし安倍政権が沖縄の民意と向き合うことはなく辺野古の工事は今も続いている。安倍首相が掲げてきた「丁寧な説明」「寄り添う」の言葉が実行されたことはなく、28日の会見で沖縄に言及することはなかった。 (吉田健一)

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 国内での高い支持率を背景に歴代最長の政権を維持してきた安倍晋三首相が辞意を表明した。安倍政権下の7年8カ月は沖縄にとって何を意味するのか。基地問題や沖縄振興、選挙を通じて安倍政権と沖縄を振り返る。