外壁崩落、車も横転、赤土流出で真っ赤な海・・・台風9号の爪痕


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
強風の影響で横転し、フロントガラスが割れた軽自動車=1日午前7時56分、与那原町東浜(大城直也撮影、画像の一部を加工しています)

 台風9号が沖縄本島に接近した31、1日、県内では強風にあおられて転倒するなど8人が軽傷を負った。沖縄気象台は2日以降も海を中心に荒天が続くことから、引き続き警戒を呼び掛けている。 

 西原町小那覇では80代男性が自宅の窓を修理していたところ、強風にあおられて3メートル下に落下し左肩を脱臼。読谷村瀬名波でも外の様子を見ようと自宅を出た90代男性が風にあおられて転倒し頭などを強打した。南風原町新川では台風対策をしていた70代女性が突風にあおられた傘が目に当たり負傷、救急搬送された。

 中城村や北中城村、沖縄市、浦添市でも40~70代の男女5人が軽傷を負った。

 本島中南部は激しい雨と風にさらされ、被害が相次いだ。豊見城署には住民から「市役所旧庁舎の壁が剝がれ落ちている」と110番通報があった。外壁が崩落し、周辺に入れないよう規制が敷かれた。与那原町東浜のマンション駐車場では風にあおられたとみられる軽自動車が横転、フロントガラスが割れた。

 2018年の台風28号で、民家への浸水など甚大な被害を受けた嘉手納町水釜の海岸沿いでは、護岸工事が完了していないことから、自家用車を避難させるなど対応に追われた。

 那覇市消防局には倒木やトタンが飛んだなどの通報が複数寄せられた。市が「都市景観資源」に指定する「安里公園のガジュマル」(同市安里)も根こそぎ倒れた。玉井栄良・安里2区自治会長(73)は「貴重な緑が失われたことは残念だ。あんなに大きな木が倒れるとは」と驚いた。

 本島北部では、名護市や本部町、宜野座村、金武町沿岸部の広範囲で赤土が流出し海が赤く染まった。宮古島市内では暴風警報解除後も断続的に強い風が吹き、農道など数カ所で道路が冠水した。