台風10号「数十年に一度の強さ」海水温高く、発達の条件そろう


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
台風が発生、発達しやすい高い海面水温を示す9月2日の海面水温解析図(気象庁ホームページより)

 大東島地方や沖縄本島地方に接近している台風10号が数十年に一度の強さとなる「特別警報級」の勢力に発達する見込みだ。沖縄近海を含めた日本近海の海面水温が記録的に高くなっており、台風が発達する条件がそろう。過去には特別警報が発表されなくても、同規模の勢力で甚大な被害をもたらした台風もあり、早めの対策が求められる。

 沖縄地方で台風の特別警報が発表される条件は中心気圧910ヘクトパスカル以下、または最大風速60メートル以上。台風10号は3日現在で特別警報は発表されていないが、中心気圧は915ヘクトパスカルまで発達する見込みのため、沖縄気象台は「特別警報級」と見ている。

 気象台は今回の台風10号について2015年の台風21号と同規模と分析する。15年の台風21号は同年9月28日未明から夜遅くに八重山地方を暴風域に巻き込んで通過した。同日午後3時41分、与那国町祖納で観測史上国内で4番目、県内で2番目の強さとなる最大瞬間風速81・1メートルを記録した。与那国の全世帯が停電し、農作物などの被害総額は1億円を超える甚大な被害があった。当時、特別警報は発表されていなかったが、結果的に「特別警報級」の台風となった。

 沖縄はこの1週間で2度目の台風襲来となる。9月中は海面水温が平年よりかなり高い見込みで、今後も警戒が必要となる。特別警報級となる台風10号について、沖縄気象台予報課の比嘉良守防災気象官は「明るいうち、早めの防災対策を」と呼び掛けた。