辺野古新基地「工事続けながら検証」 自民総裁選立候補表明の石破氏、発言が後退


この記事を書いた人 Avatar photo 斎藤 学
自民党総裁選に立候補を表明し、東京都内で会見を開いた石破茂元幹事長=6日

 【東京】安倍晋三首相の後継者を選ぶ自民党総裁選に立候補を表明している石破茂元幹事長は6日、東京都内で地方紙を対象に会見し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について「現在の工事を続けることに変わりはない。環境の負荷を最小にできるか、時間や費用について政府は答えているが、検証はきちんとしたい」と述べ、軟弱地盤の埋め立ての在り方などを検証する姿勢を示した。

 石破氏は7月の会見で辺野古移設について「とにかく進めるということだけが解決策だと思っていない」と現行計画の検証に言及していたが、この日の発言は埋め立て工事は進めながら、工事のやり方や、自衛隊による共同使用など辺野古新基地の位置づけを議論すべきだとの認識を示したもので、後退した格好だ。

 前発言との整合性を問われ「普天間の危険性除去のため名護しか受け入れてくれるところがなかったのは事実で、それは基本は変わっていない」と語り、普天間飛行場の移設先について辺野古以外に代替案を見つけることは現状として困難だとの認識を示した。

 その上で自衛隊による共同使用などを挙げ「基地建設を続けながらも負担を減らすやり方はまだいっぱいあるのではないか。普天間の危険性の1日も早い除去という最初の目標は見誤ってはならない」と辺野古ありきで何ができるかを検討する姿勢を強調した。

 全国知事会も求めている日米地位協定の改定については「運用の改善では足りない。私も大臣のときに『運用の改善』と言い続けたが、沖縄国際大学にヘリが落ちたのと同じことが起きたとき、日米同盟そのものが根幹から揺らぎかねないという危惧がある。改定を視野に入れて具体的なプロセスに入るべきだ」と話した。

 菅義偉官房長官が、那覇空港第2滑走路増設を基地負担の軽減の成果として、基地と振興がリンクしているとの認識を示したことに関連しては「何がアメでムチかいろいろな評価があるだろう。基地に頼らない沖縄というものは今後もさらに加速していかねばならない。アメとムチという言葉が沖縄で使われることがないよう努力したい」と述べた。【琉球新報電子版】