沖縄のコロナウイルス、東京と同系 7月中旬流行の遺伝子、県が分析「全体像は未解明」


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新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(米国立アレルギー感染症研究所提供)

 沖縄本島で7月中旬以降に流行した新型コロナウイルスは、東京と同じグループに属していることが9日までに分かった。沖縄県が国立感染症研究所に依頼し、ウイルスの遺伝子を解析した。県内では7月に県外からの持ち込みで「夜の街」で感染が拡大し、会食や居酒屋を通じて家庭や職場で急増し、高齢者福祉施設などにも広がった。東京から沖縄への移動で感染が拡大したことが、ウイルスの遺伝子分析からも推定される結果となった。

 県地域保健課によると、沖縄本島で7月中旬から8月上旬にかけて感染した人のウイルスを遺伝子解析した結果、ウイルスは米本土で流行しているグループではなく、東京のグループに属していることが分かったという。一方で7月前半の県内感染者に関してはウイルスの遺伝子解析ができていない。

 県内では7月中旬から米軍関係者の感染が急増した。その背景として、7月4日の米国独立記念日の前後にパーティーなどを通じて広がった可能性が指摘されていた。県内の流行のきっかけが米軍か東京かが焦点の一つとなっている。今回の解析では地域や時期が網羅されていないことなどから、同課の担当者は「流行の全体像はまだまだ解明できていない」としている。

 国立感染症研究所によると、3月の「第1波」の流行はヨーロッパ由来によるウイルスによって、全国同時多発のクラスター(感染者集団)が発生したという。6月中旬、東京を中心に新たな遺伝子配列のウイルスが出現し、全国の陽性患者の多くがこのグループに属している。