コロナ臨時交付金「アイデア勝負」 自転車普及、買い物代行…沖縄県内市町村の取り組み


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 新型コロナウイルスの感染拡大防止や緊急経済対策として、国は地方創生臨時交付金を創設し、全国の各自治体に配分している。琉球新報の調べでは、県内市町村による臨時交付金の活用は、中小企業や生活困窮世帯などへの助成金といった事例が主だが、市町村が知恵を絞ったユニークな取り組みも出てきている。市町村の担当者からは「使い勝手が良く、アイデア勝負だ」と評価する声が上がる。一方で「さまざまな対策をやりたいが額が少ない」と増額を求める声もある。

 市町村の独自事業としては、中止となったミニデイサービスのオンライン開催などを目指す団体に費用を助成する「市民提案事業」(宜野湾市)や、「3密」を避けた移動手段として自転車の普及を目指す「自転車普及促進事業」(与那原町)などがある。介護タクシーが買い物を代行する「買い物代行サービス事業」(うるま市)といった、「withコロナ」時代のモデルとなり得る取り組みが出ている。

 臨時交付金は国庫補助金で、自治体の人口や感染状況などを基に配分額が算定される。事業費の10割を国が補助し、自治体の負担はない。コロナ対策として原則自由に使える。県地域・離島課によると、県内市町村への臨時交付金の配分限度額は約218億円となっている。

 コロナ対策が長期化し先が見通せない中、「次年度以降も継続的に財政措置をしてほしい」(豊見城市)との要望が多くの市町村から出ている。同じく国庫補助金で高率補助の沖縄振興一括交付金より「使いやすい」との声もある。一方で、本島中部のある自治体職員は「国が進める『GIGAスクール構想』に伴う学校の環境整備に充てる臨時交付金が多額となり、ほかの対策に回す余裕がなくなってしまっている」との不満もこぼした。

 県内の識者からは「(使い道が自由な)地方交付税交付金のような形が望ましい」との指摘も出ている。