自民総裁に菅氏 沖縄県民「寄り添う姿勢を」 新基地建設・経済振興、警戒と期待


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自民総裁に菅氏 沖縄県民「寄り添う姿勢を」 新基地建設・経済振興、警戒と期待
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 菅義偉官房長官が14日の自民党総裁選で新総裁に選ばれた。那覇市役所では多くの市民がテレビを凝視し、首相指名が確実の菅氏の第一声に耳を傾けた。安倍政権の大番頭として戦後最長の政権を支え、沖縄の基地問題や経済振興にも関与してきた。「寄り添う姿勢を」「悪い方向にプラスアルファか」。県民の間には期待や警戒感が交錯する。結果は総裁選の前から分かっていたこともあり、あきれ顔も向けられる。

 新基地建設が進む名護市辺野古の自営業許田正儀さん(71)は「工事が進む一方で区の振興は一向に進展しない。『基地の不利益だけ被るのでは』と区民は不満を抱いている」と指摘する。「総理として地域振興を進め、目に見える形で地元に寄り添う姿勢を示してほしい」と注文した。

 南風原文化センター学芸員の平良次子さん(58)は、新基地建設や改憲への姿勢を改めて疑問視し「私たちはもっとしたたかになり、知恵を振り絞らなければならない。どうせ変わらないなんて思わず沖縄に対する政府の姿勢を変えていく方法は見つけたい」と話した。

 買い物で那覇市内のデパートを訪れた新本勝子さん(75)=那覇市=は「首相になりたいと思ってなかったと言うが本当か。総裁選で既に首相になったような話しぶりだ」と菅氏の言動に疑念を抱く。「悪い方向にプラスアルファにならないか心配だ」と指摘した。

 北中城村の大型商業施設を訪れた山崎誠さん(70)=浦添市=は「安倍政権を継承するというが、何をしたいのか分からない。一言で言えば、つまらない。内政や外交面で独自カラーを打ち出してほしい。その前に森友学園や加計学園、桜を見る会の問題を解決しなければならない」と訴えた。

 宮古島市の商業施設で買い物をしていた主婦の砂川綾子さん(49)は、菅氏が将来的な消費税増税に触れたことを上げ「誰も使わないマスクを配って何百億円も使ったあげくに、増税といわれても」とあきれ顔を見せた。

 石垣市で農業法人を経営する柳田裕行さん(57)は「派閥の論理が強く出る中で選ばれたのは非常に残念だ」と語る。「しがらみがないのであれば、プラスの面で自分なりの実績を残してほしい」としらけた様子で話した。