安慶田氏、菅氏に辺野古移設の陸上案を打診 副知事時代に私案


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安慶田光男氏

 翁長雄志県政で副知事を務めた安慶田光男氏は16日、本紙の取材に応じ、当時官房長官だった菅義偉首相に対し、米軍普天間飛行場の移設で海を埋め立てずに米軍キャンプ・シュワブ内の陸上部に移す私案を打診した経緯を明らかにした。菅氏は難色を示したというが、安慶田氏は「当時懸念された問題は今、クリアされている。現県政が代替案として出せば(政府にも)一考の余地があるのではないか」と語った。

 安慶田氏によると、菅氏へ個人的に陸上案を打診するのに先立ち、当時の翁長知事にその考えを伝えたところ、翁長氏は「今これ(陸上案)を言うと、与党が駄目になるんじゃないか」と懸念していたという。安慶田氏は「聞かなかったことにしていいが、私はそうする」と話したと振り返った。

 打診を受けた菅氏は「米国がのまない」として陸上案の実現性を否定した。当時で普天間飛行場の返還合意から約20年がたつ中、さまざまな案が出ては消えた経緯から計画変更に米国の理解を得られない旨を述べたという。

 当時懸念された陸上案の課題は(1)環境影響評価などをやり直すため時間がかかる(2)面積が小さく部分的な埋め立ては前提となる(3)飛行経路が陸地に近くなる―ことだったという。

 安慶田氏は(1)と(2)について「一部でも埋め立てには反対だったため当時は認められなかったが、今は一部の埋め立てが始まっている。(現行計画でも)軟弱地盤の存在が分かって工事に時間がかかると言われている。陸上案の二つの条件はクリアされた」と強調した。

 公明党も普天間飛行場問題の解決を巡って陸上案を検討材料に挙げたことがあり、安慶田氏は当時、党関係者とも協議した。