香港から県内移住続々 国安法施行影響 将来に不安や懸念


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テイ・ダニエルさん

 今年7月の香港国家安全維持法(国安法)施行で、沖縄県内への移住を希望する香港人が増えている。移住コンサルティング会社の万国津梁(那覇市、テイ・ダニエル社長)は4月以降、計8世帯(約30人)の香港人の日本在留資格申請を手掛けている。今後はさらに申請者数が増える見込みという。移住者のほとんどは、同法の成立で将来への不安や懸念を抱いており、海外へ避難することを選択した。

 テイ社長によると、沖縄移住を決めた香港人のほとんどが、観光で来県した経験がある。沖縄は香港と地理的に近く、子どもが通うインターナショナルスクールの費用は東京などと比べると安いことも、移住を決めた背景にあるという。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で沖縄を発着する国際線は運休しており、同社を通じて日本国内の在留資格を申請する香港人は、県内移住を実現できていない状態だ。テイ社長は「県内に移住する香港人は経営・管理ビザの名目で来沖する予定だ。今後は県内で飲食店や、アジアとの貿易で生計を立てていく人がほとんどだ」と説明する。

 一方で、日本国内では住宅や店舗などを賃貸する際に保証人が必要になるなど、初めて日本に住む香港人にとって達成困難な条件が多いという。テイ社長は「今は香港から外資を誘致するいいチャンスだ。彼らが安定的に県内に住めるよう、行政の支援も必要だ」と指摘する。「新型コロナが収束した後、彼らは次々と県内に移住してくる。人道的な観点から、彼らが安心して定住できるよう県が相談窓口を設けてもいい」と提案した。 (呉俐君)