無病息災へ村拝み 沖縄市山内区 始祖・山内大明神に コロナでウスデークは中止 


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬
農耕や生活と密接な関わりを持ってきた由緒ある川・メーヌカーを拝む男性陣。区内外から参拝者が絶えないという

  【沖縄】琉球王朝第二尚氏の三司官を務め、集落の始祖と言われる山内昌信を「山内大明神」として祭る沖縄市山内区(廣山實自治会長、1605世帯、3937人)は9月26日、その生誕の祝いと五穀豊穣(ほうじょう)、子孫繁栄、無病息災の村拝み(ムラウガン)を執り行った。今年は新型コロナウイルスの影響でウスデークは中止を余儀なくされ、祈願の規模も大きく制約された。

 「山内大明神」を祭るお宮は公民館の向かい側にある。その後方のマーニヌネカタは昌信の生誕にまつわる男子禁制の神聖な場所とされる。通常はウスデークの女性が礼拝するが、今回は比嘉典子さん(77)と区書記の比嘉祥子さん(51)が代表して祈願。一方、廣山会長や評議員ら10人余の男性陣のみでメーヌカーやトゥイヌファ御嶽を参拝した。

 この日は旧暦の8月10日で例年、市内に伝承されるウスデークのトップを切って山内のウスデークは行われる。特異な歴史を刻み、舞踊の構成や踊り手の所作が特徴的だ。しかしコロナ禍により今年は重要な伝統行事も中止となった。

 廣山会長は「区民総出のウスデークの中止は断腸の思い。祈願の参加人数も大幅な制限となったが、先人への感謝や集落発展の祈願はしっかりすることができた。来年こそは全面復活で区民の笑顔を取り戻したい」と話した。 

(岸本健通信員)