沖縄電力(浦添市)の本永浩之社長らは7日、那覇市内で会見し、浦添市牧港・港川地区内の建物にエネルギーを一括して供給する「面的エネルギー供給」を2022年に開始すると発表した。市牧港の沖電敷地内で建設を進める新本館ビルと、近隣に立地する複合施設「ゆがふBizタワー浦添港川」に電気や冷房用のエネルギーを供給するのを皮切りに、地域内の複数の建物にも供給を広げていく計画。沖電グループとしては初の取り組みで、今後の基地返還跡地開発などのモデルケースとする狙いがある。
エネルギーサービス事業を展開する沖電子会社のリライアンスエナジー沖縄(仲里武思社長)が、エネルギー供給の拠点となる「エネルギーセンター」を沖電新本館ビルの隣に建設する。センター方式による効率化やスケールメリットを生かし、地区内の各施設のコスト削減や環境負荷低減を目指す。
センターは沖電の送電網から2回線で電力を受電するほか、牧港のガスサテライトから供給される天然ガスを使って発電も行う。重油を使った非常用発電機も備える。電力を確保する複数の手段を持つことにより、非常時にも継続的なエネルギー供給ができる。さらに、ガス発電から出る排熱などを利用して冷水を製造し、冷熱で建物を冷やす空調システムも構築する。
沖電の新本館は22年5月の使用開始を予定する。道向かいの市港川では、オフィスやホテルなどが入居する「ゆがふBizタワー浦添港川」が22年8月の開業を予定している。
通常、電圧を調整する受変電設備などは施設ごとに整備するが、センターに設置して共有することで初期費用の低減や、高効率の機器導入で約10%の省エネが可能になるという。二酸化炭素排出量は年間約2千トンの削減が可能となり、環境負荷を低減する。「ゆがふBizタワー浦添港川」の建設を進める、ゆがふホールディングス(名護市)の前田貴子代表取締役CEO代行は「初期費用が概算で10億円、メンテナンスなども含めた維持費は年間1億円程度削減される」と導入効果を話した。
本永社長は「基地返還跡地など、大規模な都市開発の際には今回と同様のまとまった供給が可能になる」と今後の展開を話した。