ステーキ88「地元客7割へ」コロナ禍で急ピッチ 日本そば、居酒屋含む直営5店開店


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「地元客に愛される店舗を増やしたい」と語る沖縄テクノクリエイトの金城康樹常務=13日、那覇市内

 新型コロナウイルスの影響で飲食店が苦境に立たされる中、ステーキハウス88グループを運営する「沖縄テクノクリエイト」(金城康次社長)が県内で店舗数を急速に増やしている。今年だけでステーキハウス3店舗、居酒屋1店舗を新規開店し、老舗日本そば店の事業を譲り受けたのも合わせて、新たに計5店舗を直営で営業し始めた。出店の増加に伴い、グループ全体の店舗数は17店に拡大。コロナ禍で観光客向けの事業形態から、地元客向けに「原点回帰」を図り、2020年度中にさらに2店舗の出店も計画している。

 同社によると、感染症の流行前、来店客の比率は観光客が7割、地元客は3割だった。感染症流行によって観光客数が激減し、県が最初に緊急事態宣言を出した5月はステーキハウス88辻本店と、国際通りの1店舗だけの営業となっていたという。

 そこで、観光需要の完全な戻りに時間がかかることを見通した沖縄テクノクリエイトは「地元客が訪れやすい店」の出店を増やそうと、経営の考え方を変える決断をした。

 出店計画を手掛ける金城康樹常務は「観光がだめなら地元へのシフトチェンジを、スピード感を持ってやっていこうと思った。元々、創業した辻本店は地元客が多く訪れていた。原点に返って強化していこうと考えた」と狙いを語る。

 こうした方針の下、6月に那覇市真嘉比、10月に安謝にオープンした「ステーキハウス88Jr.」は駐車場を完備しているほか、4人掛けのテーブルを増やし、家族連れを意識した店構えとなった。ハンバーグなどの子ども向けメニューの強化も図っている。

 客層は子どもからお年寄りまで幅広く、休日は真嘉比店に約400人、安謝店に約600人が訪れるなど、人気を呼ぶ。こうした短期間での出店は従業員の働く場所を守り、取引先の卸業者を守ることも念頭に置いている。

 金城常務は「将来的には客層の7割が地元客となるように展開していきたい。県民が選んでくれる店となるよう努力していく」と語った。 (池田哲平)

6月にオープンした「ステーキハウス88Jr.真嘉比店」