学校や家での悩み、自分のペースで相談 沖縄県「こどもこころのLINEトーク」が好評<沖縄変わる風景>


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県が行う相談事業「こどもこころのLINEトーク」の入り口画面

 18歳までの児童生徒を対象に、無料通話アプリLINE(ライン)のメッセージで相談を受け付ける県の「こどもこころのLINEトーク」が好評だ。児童虐待を防止するための試行事業として8月に開始し、登録数は10月11日時点で684件に上っている。小学校中学年から高校までの児童生徒が、学校や進路など幅広い相談を寄せる。

 LINE相談の事業を運営するおきなわCAPセンターの担当者は当初、「顔も見えない大人に話してくれるのか」と不安もあったという。しかし、想定以上の登録があり「子どもに合った手段を提示すれば、子どもは話をしてくれる」と手応えを感じている。

 コロナ禍で生活が変化する中、子どもの困りごとや悩みを打ち明けてもらおうと、月・水・土の午後4時から7時に相談員とメッセージをやりとりできる。 学校や友達、家族のこと、進路への不安など幅広い相談が1日平均14件ほどあるという。より多くの子どもに対応するため、1回当たりのやりとりは最大で60分間としているが、時間いっぱいまでやりとりすることが多いという。

 授業の遅れ、バイトや就職への不安、周囲の大人に余裕がないことなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響とみられる内容も目立つという。

 子どもは自分自身が抱える悩みの原因が外的なものでも「自分の問題」として抱え込み、孤立することがあるという。おきなわCAPセンターの担当者は「大人に聞いてもらい、受け止めてもらうことが大切」と話す。しかし、コロナ禍のため、同センターでも例年実施するワークショップや対面相談をほとんど開けていない。

 そんな中、事業でのやりとりを経て「他の人ともっと話してみる」「元気が出てきた」と自ら前に進む子は多い。複数回、ライン相談に投稿する子もいるという。事業開始当初はLINE相談から本人の希望に応じて電話相談に切り替えることも想定したが希望者は出ていない。「子どもが自分のペースでアクセスできるLINEだからこそ、いいのかもしれない」と担当者らは評価した。

 試行事業は10月末で終了し、県は来年度以降の本格実施を検討する。登録・相談はこちらから

  

(黒田華)