海のフォト婚にウエット素材のドレス ブランシェビーチ、産業まつり非食品県知事賞


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
ウエット素材で作られているマリンドレス「アリーズ」をデザインした山本友美さん

 「一生に一度の機会なのに、制限がかかってしまうのは残念」。こんな思いから生まれたのが、海の中に入れるウエディングドレス&タキシードのマリンドレス「アリーズ」だ。第23回商工会特産品コンテストの非食品部門で県知事賞に輝いた。

 ドレスをデザイン・制作する山本友美さん(37)は「沖縄で作った衣装を沖縄の海で着用し、沖縄の海の美しさを知ってもらう循環ができたらいい」と話す。

 恩納村でフォトサロン「ブランシェビーチ」を営む山本さん。海辺でのフォトウエディングは需要があるのに、新郎新婦もカメラマンも「ドレスがぬれないように。汚れないように」を一番気にして撮影しているのが気になっていた。

 海水や砂がついたドレスはすぐに劣化してしまうため、高額なクリーニング料金がかかる。「海に入ってもいいドレスがあれば、いろんなことが自由にできる」―。ドレスでは海に入れないという固定観念を取り払い、「マリンドレス」を発想した。

 アイデアは浮かんだものの超えなければならない点はいくつもあり、商品化まで6年の月日を費やした。

 「アリーズ」は主にウエット素材でできているが、ウエット素材は伸縮性があるため、普通のドレスと同じ方法で縫うことはできない。海に入るため安全に考慮したデザインでなくてはならないが、陸上でも水中でも美しい形状であることも欠かせない。

 ウエットスーツを製造している工場と協力し、デザイン性と安全性の両方を備え、洗濯機で洗えるマリンドレスが完成した。商品は既にハワイや神奈川県湘南地区でも取り扱われている。海に入れるドレスは例がなく、特許を出願中だ。

 固定観念を覆すことで生まれたマリンドレスアリーズ。水中ウエディングという新たなリゾートウエディングの形も生み出した。「『こうでなければならない』というしきたりにとらわれず、自分たちらしい挙式、カップルの在り方を尊重していける世界になってほしい」という願いもドレスには込められている。