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バイデン陣営、優勢でも残る2016年の記憶


米大統領選2020

米民主党、接戦州や共和党寄りの州でも好位置に それでも「青い壁」3州での4年前の敗北を忘れられず

By Sabrina Siddiqui and Ken Thomas
2020 年 10 月 26 日 13:41 JST 更新プレビュー




 【ワシントン】米大統領選挙まで残り日数が少なくなる中、民主党候補のジョー・バイデン氏は世論調査と資金集めの面で、ドナルド・トランプ現大統領に対して大幅なリードを維持している。民主党は2016年の失敗を絶対に繰り返さないよう多くの選択肢を確保しているが、その一方で、「ブルーウェーブ(民主党の大勝)」が起きる可能性もあるのではという淡い期待も抱いている。

 バイデン陣営は、伝統的に民主党の地盤と考えられていた地域を取り返すとともに、あわよくば紫色(勢力拮抗)の州だけでなく、赤(共和党支持)寄りの州でも選挙人の獲得数を積み上げ、地盤を拡大できる好位置に付けていると考えている。

 しかし、4年前の大統領選の悪夢はぬぐい去ることができない。ヒラリー・クリントン氏の選挙陣営も、現在のバイデン陣営と同様の選択肢に直面し、多くの州の奪取を目指して労力と資金を費やしたが、結果的にペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガンの3州を、合計8万票以下の票差でトランプ氏に奪われた。

 バイデン陣営によれば、こうした背景から同陣営は、新型コロナウイルスの影響が特徴となる今回の選挙では、勝利に向けて十分な選挙人票を最も効果的に集める方法を見つけ出すことを優先している。

 バイデン陣営の世論調査専門家ジョン・アンザローン氏は「最終的に重要なのは270人(選挙人の過半数)を確保できるかどうかという点だ」と語った。

 バイデン氏は依然として、五大湖周辺の州を取り返すことに注力している。この地域の州は、2度の大統領選挙でバラク・オバマ氏を支持した後、トランプ氏支持に転じた州だ。その一方でバイデン氏は、テキサス州にもっと注力すべきだとの要請を受けている。同州は1976年以降に民主党の大統領候補を支持したことのない州だが、選挙人の数は非常に多い。

 テキサス州選出の元民主党下院議員のベト・オルーク氏は22日夜の同州民主党の電話会議で「バイデン・ハリスの選挙陣営がテキサスにもっと注力することを期待している。そうしなければ、取れるはずのテキサス州を失うことになる」と語った。

 先週公表されたキニピアック大学の世論調査によれば、投票の意向を示しているテキサス州の有権者の間で、トランプ・バイデン両氏の支持率は、ともに47%となっている。トランプ陣営のアドバイザーらはこれまで、テキサス州を落とす恐れはほとんどないとしていた。

 トランプ陣営は主に、2016年の選挙で304の選挙人確保につながった州の防衛に注力するとともに、ネバダ、ミネソタ両州を取り戻そうと努めてきた。

 バイデン氏にとっては、全方位の戦略はリスクを伴う可能性がある。

 ヒラリー・クリントン氏は、選挙最終盤の何日かにアリゾナ州を訪れていた際にも、大統領選挙本選でウィスコンシン州を訪問しなかったことを批判されていた。アリゾナ州では結局トランプ氏が勝利した。クリントン氏の一部の側近は後に、勝ち目の薄い州に多くの資源を投入しすぎたと認めている。

 トランプ氏のチームは今回の選挙戦で、2016年終盤の世論調査でクリントン氏がリードしていたことを頻繁に引き合いに出し、資金面でも大幅に差を付けられていたと指摘している。

 バイデン氏は選挙戦序盤に資金集めに苦戦していたが、9月には過去最高の3億8300万ドル(約402億円)を集めたことを発表し、過去4カ月間に集めた額は10億ドルを超えた。

 バイデン陣営の選挙対策本部長を務めるジェン・オマリー・ディロン氏によると、同陣営の口座残高は10月初めの時点で4億3200万ドルだったという。トランプ陣営の口座残高は2億5140万ドルだった。

 これが、選挙戦終盤のテレビ電波を民主党が覆い尽くす事態につながっている。広告調査会社カンター/CMAGのデータによると、9月29日から10月19日までにバイデン陣営および民主党全国委員会(DNC)が全国でテレビ広告に費やした額は1億1430万ドル、トランプ陣営と共和党全国委員会(RNC)が費やした金額は5630万ドルだった。

 投票日まで残り2週間の広告枠の購入については、より均衡した状況になっており、アリゾナ、ノースカロライナおよびペンシルベニアではほぼ同等になっている。広告枠の予約は、放映前であれば修正が可能だ。

 民主党はフロリダ、ジョージア、ネバダ、オハイオとウィスコンシンの各州で、共和党を上回る費用をかける計画だ。一方、アイオワ、ミシガン、ミネソタとニューハンプシャーの各州ではその逆になる予定だ。

 カンター/CMAGによると、バイデン陣営は今月初め以降テキサス州のテレビ広告に200万ドルを費やし、10月20日から投票日までに360万ドル分の広告枠を購入している。トランプ陣営は現段階では同州で購入済みの広告枠がない。

 しかし、党のストラテジストの一部は、トランプ氏の2期目を阻止するためには、まずミシガン、ペンシルベニアとウィスコンシンの3州を確実に取る必要があると述べる。2016年の勢力分布図が有効だとすると、大統領にこの3州全てを落として再選できるほどの余裕はない。

 オバマ前大統領再選時の選挙対策本部長を務めたジム・メッシーナ氏は、「彼らの最優先事項は、『ブルー・ウォール(青い壁、中西部の伝統的に民主党支持者の多い州)』の囲い込みを確実に行うことになるはずだ」と述べる。

 トランプ陣営は、22日の最後の討論会を受けて、ペンシルベニアと中西部の激戦州で選挙戦の風向きが変わった可能性があると述べる。インターネットを通じた同陣営への献金額が伸びており、これについて同陣営は、バイデン氏の米石油業界の未来に関するコメントがきっかけになったと指摘している。

 大統領の選挙対策本部長を務めるビル・ステピエン氏は、「勢いを付けている候補が大統領であること、そして、われわれの陣営であることは間違いない」と述べる。

 トランプ氏は今月初め、新型コロナウイルスへの感染を受け、短期間、選挙集会を見合わせたあと、過密スケジュールの遊説に復帰した。

 トランプ氏は、新型コロナに関する公衆衛生上のガイドラインからは大幅にかけ離れた大規模集会を継続しており、週末にはノースカロライナ、オハイオ、ニューハンプシャー各州への遊説を行った。

 対照的にバイデン氏は、トランプ氏よりも少ない回数の対面集会を開催する計画を維持している。

 最後の大統領候補討論会となった第2回討論会を前にトランプ氏がアリゾナ、ペンシルベニア、ノースカロライナ州で集会を開いたのに対し、バイデン氏は討論会に先立つ3日間、公式イベントを開催しなかった。討論会後の23日、バイデン氏は地元デラウェア州ウィルミントンでパンデミックに関する演説を行った。

 バイデン氏は24日にペンシルベニア州における選挙動向を左右する2つの郡であるバックス郡とルザーン郡への遊説を計画していた。バックス郡はフィラデルフィア郡に接する郡で、ルザーン郡はバイデン氏が少年時代を過ごしたスクラントンに近い郡だ。

 バイデン陣営はまた、最も接戦状態となっている州のうち、ペンシルベニア州とフロリダ州でオバマ氏を現地入りさせた。

 バイデン氏の選挙陣営は、テキサス州に加え、ジョージア州、アリゾナ州など伝統的に共和党色の強い州だが、民主党が着実に支持を拡大している幾つかの州に重点を置いている。

 これら3州は競争の激しい上院議員選挙で共和党の現職が議席を堅持しており、大統領選の選挙マップでの重要性を増している。

 バイデン氏は大統領選においてアリゾナ州を一度訪問したが、テキサス州と27日にイベントを計画しているジョージア州ではまだ遊説を行っていない。バイデン氏は8月下旬に民主党大統領候補の指名を受諾した後、24日の訪問を含めペンシルベニア州を10回、ミシガン州を3回、そしてウィスコンシン州を2回訪れている。

 こうした活動ぶりは、オバマ氏が2012年の大統領選で27ポイントの大差をつけて勝利したあと、2016年の大統領選ではヒラリー・クリントン氏がほぼ3ポイントの小差で勝利したペンシルベニア州ラカワナ郡の民主党員に安堵(あんど)感をもたらしている。

 ラカワナ郡の民主党委員長、クリス・パトリック氏は、「2016年の際は、(民主党の)基盤を当然のものと考えていて、懸命に活動しなかった。われわれは教訓を学んだ」と述べた。




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