「優しさの中に強さ」大城立裕さん死去 芸能関係者、沖縄への思い継承


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 沖縄県浦添市の葬祭場、ファミリーホールいなんせには27日、近年愛用していた灰色のスーツに身を包み、安らかな表情で眠る大城立裕さんの姿があった。

新作組踊「花の幻」と「花よ、とこしえに」の上演を前に、製作発表をした原作者の大城立裕さん(前列右から2人目)ら=2019年6月21日、浦添市の国立劇場おきなわ

 葬祭場には、親戚のほか、大城さんが県立博物館長時代に副館長を務めた宜保榮治郎さん(86)、国立劇場おきなわの嘉数道彦芸術監督(41)が駆け付けて手を合わせた。

 宜保さんはニュースで訃報を知った。「いつも静かな人だった。沖縄で何か事件や問題が起きると、(県内の識者は)みんな大城さんに意見を尋ねていた。沖縄の将来を気に掛け、最後に会った時も首里城の再建を気にしていた。大切な相談役をなくした」と話した。

 嘉数さんは、昨年8月に国立劇場おきなわで上演された大城さん作の新作組踊「花の幻」の演出を手掛けた。「こんな若造に、作品を演出させていただく機会をくださった。私たちの思いを酌む一方、作品に対しての信念もお持ちで、優しさの中に強さが秘められた方だった」と振り返った。「一つずつ先生の伝えたかった思いを理解し、受け継いでいけるよう努めたい」と力を込めた。

 那覇市首里汀良町の大城さんの自宅は、人の出入りがなくひっそり静まり返っていた。訃報に接して駆け付けた近隣住民もおり、自宅前を通りかかる際に一礼する人の姿もあった。