戦災アカギ、不屈の姿 首里城説明板に写真追加 東京の塚本さん60年撮影


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 那覇市の首里城公園内にあり、沖縄戦の後も枯れた幹が残っているアカギの大木の説明板に、このほど、写真家の塚本文雄さん(東京都)が1960年に撮影した写真が追加された。写真には、枯れた大木と、奥には復元されて間もない守礼門も見える。現在、枯れたアカギの幹にはアコウの木が周辺から着生して伸び、一見してアカギだとは分からなくなっている。首里城公園の担当者は「この当時の様子を収めた写真は貴重だ」と話している。

 写真は8月に追加された。首里城公園によると、説明板は「仮設置」の位置付けで、敷地を管理する県が改めて正式な説明板を設置する予定だという。
 追加された写真は60年、写真家の塚本さんが沖縄を訪問した時に撮影した。沖縄戦で焼かれ、枯れた大木のそばを男性が歩き、奥には焼失した首里城関連施設で最も早い58年に復元された守礼門が映っている。
 アカギはその後、台風などで幹の途中や枝が折れ、わずかに胴体が残っている。代わりに、周辺に着生したアコウがぐんぐんと幹や枝を伸ばし、アカギと一体化するような不思議な形で大木に成長した。
 塚本さんは「戦災で焼けて枯れ木になっても立っていたアカギの木は沖縄人の不屈の精神の表れだ。今はアコウという宿木の芯柱になっているが、管理者の粋な計らいで元の場所でよみがえった」と話した。
 塚本さんは60年に沖縄を訪問した際に、他にも首里城周辺の写真を撮影し、首里城公園に一部を寄贈した。首里城公園の宇保朝輝さんは「60年はまだ沖縄の人たちもカメラを持っている人は少なく、この当時の様子を収めた写真は貴重だ。このころの首里城周辺の様子や沖縄を撮影した塚本さんの写真展も今後企画したい」と話している。
 (島袋良太)

1960年に写真家の塚本文雄さん撮影したアカギ。戦災で焼かれ枯れ木になり幹だけで立っている(塚本さん提供)
仮設置された説明板。1960年に撮影されたアカギの大木の写真が追加された。奥にあるのは残されたアカギの幹に着生して大木となったアコウ=10月23日、那覇市の首里城公園