「南極の氷で泡盛を飲みたい」 琉大職員の金城さん念願の観測隊員に選出 20日出発へ


この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬
南極への出発を間近に控え、期待感を語る金城順二さん=10月30日、西原町の琉球大学

 第62次南極地域観測隊越冬隊に選ばれた琉球大学職員の金城順二さん(29)が20日、横須賀港から南極に向けて出発する。年内に昭和基地に入り、約1年4カ月を南極で過ごす予定だ。金城さんは県外での生活経験がない生粋のウチナーンチュで、しかも大学は文系。寒さとも自然科学とも無縁の生活を送っていた。出発を間近に控え「南極の氷で泡盛を飲みたい」と意気込んでいる。

 金城さんは普天間高校を卒業後、琉球大学法文学部総合社会システム科へ進学した。卒業後は琉大に採用され、人事課に配属された。人事課は基本的に学務管理やハラスメント対策、男女共同参画などを担う部署だが、外部機関が行う研修への応募を受け付ける窓口でもあった。そこで目にしたのが南極観測隊の募集要項。「こんな仕事があるのか。面白そうだ」と、直感で南極行きを決意した。

 初めて募集要項を目にした時はすでに応募期間が過ぎていた。次の募集時に上司に相談したが、仕事に慣れるのが優先として、回答は「駄目」。隔年募集のため、2年後に職場の理解を得て応募したが、選考を通ることができなかった。諦めずに2年後も応募し、積年の思いを実らせた。

 現在は観測隊を派遣する国立極地研究所で研修中。隊の庶務・情報発信を担っており、文房具やトイレットペーパーなど生活必需品の調達を行っている。物資の仕入れは1回きりなので、責任は重大。先輩隊員に助言を求めながら、品物をそろえている。

 太陽が沈まない白夜、太陽が昇らない極夜。南極では沖縄では起きないさまざまな自然現象が起こる。閉ざされた環境に不安も感じるが「南極は多くの人にとってなじみのない風景ばかりだと思う。オーロラも見られるので、ブログやSNSで情報発信したい。ユーチューブのライブ配信も計画している」と、期待を膨らませた。