地位協定、フィリピンは3度改定 環境法令も適用、空域は自国管理 沖縄県調査


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 県は5日、各国地位協定の比較調査でフィリピンを調査した結果を全国知事会で公表した。米比が米軍撤退前に結んでいた基地協定は主要な改定が3度あり、基地の使用期間を短縮され、フィリピン側の基地管理権が強まった。県はフィリピンの環境法令が米軍にも適用されており、空域もフィリピンが管理していることを確認した。

 日米地位協定は1960年の締結以来、一度も改定されておらず、原則として米軍には日本の国内法を適用できない。県は日米地位協定の問題点をさらに明確化し、協定の見直しに対する理解を広げようと各国との比較調査を続けている。

 県によると、米国とフィリピンが47年に結んだ米比基地協定は当初、16施設を99年間使うことを定めていた。59年の改定で基地の使用期間を短縮し、25年とした。また、刑事裁判権を握るのは基地内では公務中も公務外も米国で、基地外では公務中が米国、公務外がフィリピンだった。65年の改定で、基地内外を問わず公務外ならフィリピンが刑事裁判権を持つことにした。

 79年の改定で米軍基地にフィリピン人司令官を配置し、各基地がフィリピン軍司令官の指揮下にあることで合意。米軍撤退後の98年には米軍と訪問軍協定を結び、関係を再構築した。

 比環境天然資源省の行政命令には、訪問軍協定に基づく演習などについて、フィリピンの環境法令の順守義務が明記されている。実際の運用でも、米軍は有害物質の取り扱いにフィリピン側の許可を求められるなど、フィリピンの国内法が適用されている。

 空域は比民間航空局が管理し、民間使用を優先している。米軍の空域使用には比側の許可が必要で、米軍が管理する日本の横田空域のように外国軍が管理する空域はない。

 県はこれまでにドイツやイタリア、ベルギー、イギリス、オーストラリアを訪れて米国との地位協定を調査してきた。韓国でも調査する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大で実施できていない。