人生に行き詰まった時も、結婚の報告も・・・ 民泊でつながった島の“家族”の物語


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湯原竜司さん、知世さん夫婦(前列中央)と工藤さん家族=10月29日、伊江ビーチ海の家「にしんすに」の前

 【伊江】茨城県在住の湯原竜司さん(30)、妻の知世さん(30)と伊江村川平区在住の工藤義人さん(52)、加奈子さん(39)の家族は10月29日、沖縄県の伊江ビーチ海の家「にしんすに」でささやかな祝いの会を開いた。

 湯原さんと工藤さん家族の交流のきっかけは今から13年前。竜司さんが茨城県立茨城東高校3年生の時、修学旅行で伊江島を訪れ民泊体験をした。その時のホストファミリーが工藤さんだった。竜司さんは「最初の印象は厳し過ぎて二度と来るまい」と思っていた。

 だが10年ほどたったころ無性に会いたくなって電話をした。「10年前に自分が感じたこととは全く違う温かさを感じた」と振り返る。「どんな悩みでも親身になって相談に乗ってくれ真剣に向き合ってくれる。人生に行き詰まった時は相談し、島にも何回か会いに来た。前回は、結婚が決まった時に知世さんと一緒に来島した。婚姻届の保証人もお願いした」と厚い信頼を寄せる。

 知世さんは「工藤さんとの交流があってから竜司さんの人柄がガラっと変わった。生きていく上で大切なものを教えてもらったのだと思う」と話す。竜司さんは今回の来島で4回目。「赤ちゃんができたことの報告と10月29日は妻の誕生日なので、ここで大好きな工藤家と一緒に祝いたかった」と話す。

 義人さんは「孫ができたようだ。子どもには厳しいけど孫には甘くなると思うよ」と顔をほころばせた。また、「一生で何人の育ての親に恵まれるかが大切。自分は多くの子どもたちの育ての親になりたい。民泊で巣立った子どもたちも、誰かの育ての親になってほしい」と子どもたちへの思いを語った。

 竜司さんは「来年3月に出産予定です。赤ちゃんが生まれて、落ち着いたら、顔を見せに来ます」と5度目の来島を約束した。
 (知念光江通信員)