<記者解説>タイムス元社員に組織性も、給付金詐欺40人の起点か 「反社」関与も捜査


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 県警が持続化給付金の不正受給を巡る詐欺事件を、県内で初めて摘発した。逮捕した沖縄タイムス元社員の男(45)の勧誘から、40人程度に不正受給が広がった可能性があることから、犯行に一定の組織性を見いだした。男が不正を認め、携帯電話の提出など任意捜査に協力的に応じる一方で、県警は“本丸”と狙う反社会的勢力などの関与は裏付けができていない。

 沖縄タイムス社などの説明によると、男は社員らを含む15人程度に直接、給付金の申請を紹介した。その後、その15人から40人程度に不正な申請が波及したとみられている。男の逮捕に踏み切ったものの、県警が共謀者の特定に至っていないことから、今回の事件は同容疑者の立件のみにとどまるとの見方もある。

 県警は9月に特別捜査本部を設置し、不正受給に関与したとみられる人物、数百人規模への事情聴取を重ねている。反社会的勢力の関与がないかなど引き続き、慎重に捜査を進める方針だ。多額な税金が詐取された可能性が高く、県警幹部は「刑事事件としてやるべきものは厳正に対処していく」とし、悪質性の高さや一定の組織性などが確認されれば今後も立件する考えを示している。

(当間詩朗)