沖縄戦の実態継承へ 本紙客員編集委員の藤原さん出版記念イベント


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トークイベントで話をする(右から)藤原健琉球新報客員編集委員、佐喜眞美術館学芸員の上間かな恵さん、琉球新報社会部の阪口彩子記者=14日、那覇市のジュンク堂書店那覇店

 沖縄の戦跡を歩き、戦争体験者や基地被害に苦しむ人らに聞き取りを続けた元毎日新聞大阪本社編集局長で本紙客員編集委員の藤原健さんの著書「終わりなき〈いくさ〉~沖縄戦を心に刻む」の出版記念トークイベントが14日、ジュンク堂書店那覇店で開かれた。藤原さんと佐喜眞美術館学芸員の上間かな恵さん、琉球新報社会部の阪口彩子記者が沖縄戦の実態や記憶を未来にどうつないでいくかを話し合った。

 藤原さんは、沖縄戦で日本軍が住民を守らなかったことを強調した上で「地上戦は、住民が殺された殺戮(さつりく)戦だった。戦跡を巡って多くの人の話を聞けば聞くほど、国の責任を感じる。戦争を起こさせないことが政治家の責任だ」と指摘した。

 戦後75年がたち戦争体験者が年々減る中で、いかに沖縄戦を継承するかについて上間さんは「体験者から話を聞いた私たちは証言者。何を次の世代に伝えることができるのか、何を聞くのか。それを問い続けながら聞く責任を感じている」と話した。阪口記者は首里城地下にある日本軍第32軍司令部壕について「負の遺産を残して、そこで何が起こったかを想像して伝えることが戦後80年、100年も沖縄戦を継承することにつながる」と話した。

 

藤原健 著
A5判 208頁

¥2,000(税抜き)