<深掘り>那覇副市長人事紛糾、与党不協和で中立派も反発 市の調整不足露呈


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那覇市役所

 平良識子那覇市議を副市長に選任する議案は、一部の与党市議も退席して採決できなくなる異例の事態となった。与党内の不満を解決できなかった市当局に対し、人事案に賛成する与党市議からも「コミュニケーション不足だった」との声が上がる。 (伊佐尚記)

 「議会のことなので今は見守る」。人事案の採決を延期する動議が可決された後、城間幹子市長は言葉少なに議場を去った。

 副市長人事を巡っては、与党内に別の人物を推す声もあった。城間市長は11月下旬、与党市議たちに平良氏を起用すると説明した。関係者によると、城間市長は理由として平良氏の当選4回という経験や「若い女性を育てたい」との考えを示したという。

 与党の大半は市長の意向に従ったが、一部は「そういう市議はほかにもいる。理屈が通らない」と反発。事前の相談がなかったことも疑問視した。

 採決前日にニライ会派から宮平のり子氏、上原快佐氏が離脱した。波紋は広がり、中立の会派も「与党内でもまとまらず、ごたごたしている中では審議できない」などと退席した。

 さらに議会の反発を招いたのは人事案を巡る市長の答弁だ。10日の質疑で奥間亮氏(自民)は平良氏が那覇軍港の浦添移設に反対してきたことを念頭に「市政と齟齬(そご)がある」と指摘したが、城間市長は「人柄や行動力、知識や経験を考慮して最適だと判断した。政策的な齟齬は重視していない」と答弁した。中立系の市議は「賛成してもいいかなと思っていたが、頭にきた」と語気を強めた。

 ニライを離脱した2人は「信念を貫いた」としつつ「城間市政を支える立場は変わらない」と強調する。

 現時点で今後の市政運営に大きく影響するとはみられないが、与党をまとめられなかった城間市長のリーダーシップも問われている。