北大東、竹富除外へ 過疎新法 県内16市町村存続


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 過疎化が進む市町村に国が財政支援する過疎法の2021年度からの新法で、現行法の指定を受ける県内18市町村のうち、中期的に人口が増える傾向にある北大東村と竹富町が指定から除外される「卒業団体」になる見通しであることが11日、分かった。同日、自民党政務調査会過疎対策特別委員会(谷公一委員長)が総会を開き、新法の指定要件を了承した。新型コロナウイルスの影響による税収減の影響を踏まえた指定要件にした。 

 県は当初、18市町村のうち半数以上が「卒業」すると見込んでいたが、予想より多くの自治体が存続する見込みだ。指定外になると、ハード事業の高率補助や診療所の運営費などに充てられてきた過疎債が使用できなくなり、自治体財政に深刻な影響を与える可能性がある。

 卒業団体となる竹富町の西大舛高旬町長は本紙の取材に「法案はまだ国会を通ったわけでもなく、流動的だ」と述べるにとどめた。北大東村の宮城光正村長は「残念だ。社会資本の整備など一般財源だけでは到底できないことがあり、そこに過疎法を活用してきた」と話した。

 新法では卒業団体への経過措置として過疎債が活用できる期間を従来の5年を6~7年に延長する。県内では宮古島市のみが該当する合併市町村に対する特例「みなし過疎」も存続する。

 自民関係者へ存続を要請してきた玉城デニー知事と県過疎地域振興協議会(過疎協)会長の宮里哲座間味村長は連名で「過疎地域の実情に対して特段の配慮をいただいたことに心より感謝申し上げる。持続可能な地域社会を形成できるよう、全力で取り組んでいく」とコメントした。

 新過疎法の適用を受けるのは国頭村、大宜味村、東村、本部町、伊江村、渡名喜村、渡嘉敷村、座間味村、粟国村、伊平屋村、伊是名村、南大東村、久米島町、与那国町、多良間村、宮古島市の16市町村。新法は議員立法として来年の通常国会に提出、本年度内の成立と21年度からの施行を目指す。