辺野古・大浦湾に巨大船設置 埋め立て土砂蓄積用、基地工事加速へ 海上に怒りの声


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大型台船「デッキバージ」と抗議する市民=11日正午ごろ、名護市辺野古の大浦湾(新里圭蔵撮影)

 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設が進められている名護市辺野古の大浦湾に11日、洋上で埋め立て用土砂を蓄積するための大型船「デッキバージ」が設置された。9千立方メートルの土砂の積載が可能で、土砂運搬船が来られない日も作業を継続できる。辺野古側の工事をさらに加速させる狙いがある。新基地建設に抗議している市民からは「海の破壊が早まる」「船は国家権力そのものだ」と反発の声が上がった。

 「デッキバージ」は午前8時半ごろ、タグボートにけん引されて大浦湾に入った。K9護岸から約700メートル~1キロ沖で、洋上に浮いた黄色のブイにロープで結び付ける作業が進められた。海上での工事を監視している市民らによると、「普段の運搬船の積載量が千~1200立方メートルだとすると、『デッキバージ』は7・5~9倍の量になるはずだ」という。辺野古への土砂投入から2年となる14日を前に、米軍キャンプ・シュワブゲート前で抗議をしていた60代の男性は「2年経っても県民は反対の声を弱めていない。国は力を見せつけて心を折ろうとしているようだ」と話した。

 抗議船「翔也丸」の船長の西川正夫さん(68)は「国はやりたい放題だ。この大型船も取るべき手続きを本当に取ったのか。国は自然も人の心も傷付け続けている」と憤った。南城市から海上抗議に駆け付けた島しづ子さん(72)は「私にはあの大きな船は国家権力に見えるが、ひるまず立ち向かっていくカヌー隊の姿に勇気をもらっている。諦めたくない」と力を込めた。

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