山田がグレコ63キロ級で準V、連覇逃す「足への攻撃」反則認められず レスリング全日本選手権


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 レスリングの全日本選手権第3日は19日、東京・駒沢体育館で計8階級が行われ、男子グレコローマンスタイルはともに非五輪階級の55キロ級で片桐大夢(拓大)が3連覇し、63キロ級で清水賢亮(拓大)が初制覇した。同級の山田義起(浦添工高―日体大出、エムアンドケイ)は準優勝、徳比嘉一仁(南風原高―日体大)は準決勝で清水に敗れ、敗者復活1回戦で敗退した。女子は57キロ級で南條早映(至学館大)が2試合を勝ち、2連覇を果たした。68キロ級で松雪成葉(至学館大)が72キロ級の2017年大会以来3年ぶりの日本一。非五輪階級の59キロ級で花井瑛絵(至学館大)が初優勝した。男子フリースタイルは74キロ級で木下貴輪(クリナップ)、86キロ級で石黒隼士(日大)、非五輪階級の79キロ級で吉田隆起(自衛隊)がいずれも初の頂点に立った。


逆転から猛攻許す 天仰ぎ「悔しい」

グレコローマンスタイル63キロ級決勝 腰に腕を回してがっちりとホールドし、ローリングを仕掛ける山田義起(右)=19日、東京・駒沢体育館(長嶺真輝撮影)

 3点リードの決勝第1ピリオド2分すぎだった。山田義起は押し合いのもつれから後方に倒され、3―4で逆転を許す。「(攻防では禁止されている)足への攻撃だと思った」とうつぶせのまま審判に目で反則を訴えるが、試合は続いた。

 ここから電光石火の攻撃を仕掛けられる。30秒ほどの間に投げ技やローリングを立て続けに受け、テクニカルフォール負け。審判団に動画でプレーを再確認してもらうチャレンジを使うが、認められず。2連覇は成らなかった。

 この日は23歳の誕生日。社会人になってから初の公式戦でもあった。週3日、時短勤務しながら母校の日体大で練習に励む。「会社を背負っての試合で、勝ちたかった」と天を仰ぐ。「悔しい」という言葉が何度も口を突いた。

 昨年初優勝を果たし、回りから追われる立場になった。腕取りを得意とするが「対策されていた」となかなかつかめず。もう一つの得意技であるローリングも大会を通して「クラッチが甘かった」と反省しきりだった。ただ、4年後のパリ五輪出場を目指す山田はまだ伸びしろを感じている。「違う技も含め、もっと技術面を伸ばしたい」。悔しい敗戦を糧に、さらに成長を遂げた自らの将来像を描いている。

 (長嶺真輝)