送電塔の地中化に56億 辺野古工事関連、高さ超過の鉄塔14カ所


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高さ制限に抵触するとみられる送電線=2020年12月22日、沖縄県名護市辺野古

 【東京】防衛省は2021年度から、名護市辺野古の新基地建設に関連し米軍の高さ制限で支障が出ていた、沖縄電力の送電鉄塔の地中化に着手する。沖縄電力の鉄塔14カ所を地中化する費用として、56億1800万円(契約ベース)を計上した。

 だが政府は、遅くとも11年には高さ制限を認識していたとみられ、後手の対応に疑問の声も上がりそうだ。

 事業では14カ所分の送電線を国道329号の地下に敷設し直す。事業終了時期は未定となっている。

 米軍は航空機の安全な航行を目的に滑走路の半径2286メートルの範囲で高さ制限を設け、標高54・52メートルより高い建物が制限の対象となる。

 鉄塔のほか国立沖縄工業高等専門学校の校舎、米軍辺野古弾薬庫地区内の弾薬倉庫、周辺地域の民家やマンションなどが制限に抵触する。

 県が18年に公有水面埋立法に基づき埋め立て承認を撤回した際の沖縄防衛局宛ての通知でも、撤回理由の一つに高さ制限を挙げ、移設先として適切でないと批判していた。国は沖縄電力の送電線や通信鉄塔以外は「安全上、問題ないとされている」とし、沖縄高専の校舎や住宅などを例外としている。

 一方、高さ制限にかかる鉄塔はほかにも通信会社が管理する通信用が4カ所あるが、今回の予算では移設対象になっておらず「引き続き調整を進める」と述べるにとどめた。