ウイルスの名称とブランド名が一致、悲運と思われたが…
By Nat Ives
2020 年 12 月 22 日 15:57 JST 更新
新型コロナウイルスが世界的に流行し始めたころ、突然気まずい名前となったビールブランドにも悪影響が及ぶとみられていた。
2月のある記事の見出しには「コロナウイルス懸念で悲運のコロナビール」とある。
コロナビールの販売を担当するマーケティング幹部らはこうした報道を真に受けたと、米酒類大手コンステレーション・ブランズでビール部門のブランドマーケティング担当上級バイスプレジデントを務めるジョン・アルバラド氏は言う。
だが年末が近づく中、コロナビールの店舗販売は持ちこたえている。
市場調査会社IRIによると、年初から12月6日にかけて、コロナブランドのビールとハードセルツァー(アルコール入り炭酸水)の米国内での店舗売り上げは、このカテゴリー全体の6.78%を占め、前年同期とほぼ変わらない。
急成長のハードセルツァーを除いたビールだけを見ても、12月6日までの店舗売り上げは前年の水準を維持しているという。コンステレーション・ブランズはパンデミック初期に他のマーケターと同様、商品宣伝の小休止を行ったものの宣伝は続けていた。
「コロナの売り上げに悪影響のようなものは見られなかった。それはデータでも明らかだ」と、投資銀行コーウェンのマネジングディレクター兼上級リサーチアナリストのビビアン・エイザー氏は指摘。同ブランドの人気と知名度がダメージ回避に役立ったと述べた。
コロナに逆風が吹くと伝えていた報道の一部は、世論調査会社ユーガブ(YouGov)のデータを引用していた。同社は2月、コロナブランドに対する消費者心理が悪化していると報告していた。
ユーガブは21日、消費者心理はその後すぐに回復したとし、「春季の購入判断や全体的なブランドイメージに目立った変化はなかったこともデータは示している」と明らかにした。
今年を乗り切るため、コンステレーション・ブランズはコロナブランドに対する消費者心理とブランド健全性をいつもより注視したが、新型コロナウイルスと関連付けて捉える人はほとんどいなかったとアルバラド氏は言う。
同氏によると、2月末にまだコロナが売れているとのコメントに目立つ形で反応するのを控えるなど、この話題が注目を集めないように注意を払った。「年末まで控え目な姿勢を保つようにし、あまり外部に発信しなかった」
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