新型コロナ、子どもの感染リスクは?学童ではどう対策すればいい?中部病院・高山義浩医師が解説


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 子どもが利用する施設での新型コロナウイルスの感染リスクや予防策への理解を深めようと、NPO法人県学童・保育支援センターは18日、県内の保育所や学童、子どもの居場所の関係者向けの勉強会を那覇市の国場児童館で開いた。県立中部病院の高山義浩医師が講師を務め、新型コロナの特徴や子どもや職員の感染対策などを解説した。関係者らは現場が抱える課題について質問し、感染対策を講じながら遊びと学びの活動を続ける方法を学んだ。

成人とリスク同じ

 高山医師は、新型コロナの研究結果やこれまで県内で発生したクラスター(感染者集団)の事例などを踏まえ、幼児への感染の特徴を説明した。感染リスクは成人と変わらない一方で、幼児から成人へと感染することは少ないという見方を示した。

 県内の事例の多くは職員の発症で発覚したという。当該施設への聞き取りなどから、食事中に感染が広がった可能性が高いとして、職員は幼児と別の場所で食事することを推奨した。職員が食育の活動などでマスクを外さざるを得ない場合は、換気した上でマウスシールドを使用するなど、十分に注意を払う必要があると強調した。

 クラスターの予防策としては、「症状のある幼児や職員を休ませることが基本だ」と説明。幼児はそれ以上の行動制限の必要はないが、職員が発症した場合は適切な医療機関で速やかにPCR検査を受けることを提言した。「PCR検査が遅れれば、休園の判断なども後手になり、気付いたときには集団感染になってしまう」と指摘した。

屋内での遊び課題

 同センターは11月、子どもが利用する学童や児童館、子どもの居場所などで働く指導員らにアンケートを実施した。回答を得られた62人のうち「屋内での遊び方」に課題を抱えると答えた割合が75・7%に上った。

 施設内での活動について、高山医師は(1)換気の徹底(2)手指消毒(3)適正な消毒の使用―などを挙げた。また、感染リスクの考え方を示し、公園など屋外での遊びはリスクが低いとした。屋内での合唱はマスク着用を勧めた。

新型コロナウイルスの特徴や感染対策について解説する高山義浩医師(右)と参加者ら=18日、那覇市の国場児童館

 質疑応答で、那覇市国場児童館の山崎新館長は幼児のマスク着用の必要性について質問した。高山医師は「適切に着用できない幼児に無理に着けさせても予防効果は得られない」とした上で、「基礎疾患などその子が有するリスクや同居する家族のリスクは考慮する必要がある」と述べた。

 参加者らは勉強会を通して、現場での実践に生かしていきたい考え。主催した県学童・保育支援センターの二宮千賀子さんは「現場ではどこまで感染予防策を講じればいいのか、不安を抱えている。専門的な知識を身に付けることで適切な感染対策ができる」と意義を語った。


成長段階に応じた対策を

 高山義浩医師の話 感染対策が必要な基礎疾患のある子どもや、対策への協力が難しい発達段階の子どももいる。画一的な対策を押し付けるのではなく、それぞれの成長段階に応じて対応することが大切だ。マスクを着けられない子どもがいるなら、周囲がマスクを着用することで、その子を守れる。感染対策を通して、自分や周囲を思いやる気持ちを学んでほしい。