<深掘り>市長選にらみ「後継」つぶし 那覇副市長人事 自公間にしこり残す


社会
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22日午前の本会議で退席しない公明党の市議に詰め寄る自民党の市議=那覇市議会議場

 平良識子那覇市議(ニライ)を副市長に選任する議案を巡り、野党の自民党会派は平良氏を「城間幹子市長の後継候補」とみて廃案を狙った。中立の公明党会派が退席しなかったことで自民にとって想定外の展開になり、深夜まで駆け引きが続いた。最終的に審議未了で廃案になったが、自公の間にしこりも残った。

 城間市長は3期目を目指すかどうかは言及していない。だが、ある自民市議は2年後の市長選をにらみ、「城間市長が平良氏を後継として連れ歩けば市民へのアピール力は強い。平良氏は若く、われわれは今後10年以上野党でいなければいけない可能性も出てくる」と警戒感をあらわにする。

 22日の本会議。採決の段になっても退席しない公明市議たちに自民市議たちが詰め寄った。自民側は、事前調整で公明は退席すると認識していた。だが、ある公明市議は「退席を考えたが最終決定ではなかった」と反論。「また会議を流せば、議会として責任を果たしていない」と考え、議場で反対することを選んだ。だが自公が反対しても可決される可能性が高い。

 休憩に入った後、自民は「会派内の意見がまとまらない」として何度も休憩延長を要望。審議未了で廃案にすることを狙ったが、ニライや公明が久高友弘議長に会議時間の延長を求めた。議長も承諾したが、議場に現れるのが遅れ、桑江豊副議長(公明)が代わりに延長を宣言した。
 公明の行動に対して自民や一部の中立会派の中には不満がくすぶる。一方、ある公明市議は「自民に振り回された」と不快感を示す。今後の選挙などでの協力については「やらざるをえないが、感情的なものは残る」と吐露した。 (伊佐尚記)