キャンベル缶、自販機に登場! 沖縄のソウルフード「いつの間にか売り切れる」


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同配色の手ぬぐいを頭に巻き、店頭の自動販売機で売り出すキャンベル缶をアピールする砂川天平さん=3日、那覇市長田の砂川商店

 沖縄では常備している家庭も多く、ソウルフード的な存在となっているキャンベルスープ。このキャンベルのスープ缶が買える自動販売機が那覇市に登場した。設置している商店を経営する、砂川天平さん(45)=同市=は「誰かが買うのを一度も見たことがないけど、いつの間にか売り切れている」と不思議がる。販売元のキャンベルジャパンも存在を把握しており、SNSや地域でも話題を集めている。

 自販機が置かれているのは、砂川さんが経営する市長田の「砂川商店」と市古波蔵の「商店ai―n(アイーン)」の2カ所。自販機は広告や塗装もなく真っ白。コーラやコーヒーなどの飲料が並ぶ一角に「つめた~い」の表示でキャンベル缶のコーナーがある。今年9月ごろから100円で売り出している。

 「○○より安い」「どこにあるの?」。SNSで紹介されると、すぐにコメント欄が埋まった。来店客の間でも話題だ。商店によく訪れるという城間浩一さん(38)は「昨日、ここで酒を飲んで、帰りにスープを買って家で飲んだ。おいしかったよ」と語る。購入者は身近にいた。

 キャンベル缶でこれだけ盛り上がるのは沖縄の特殊事情がある。商品の輸入・販売を手がけるキャンベルジャパンによると、1897年に誕生したキャンベルの濃縮缶スープは戦後、米軍が沖縄に持ち込んだ。戦後の食糧難も相まって闇市から各地に広がり、各家庭で親しまれた。

 同社は1人当たりの消費量を公表していないが、沖縄は県外と比較しても「比べものにならないほど高い」と消費量の多さを強調する。同社のホームページには「沖縄地域取扱い製品」のページが特設されるほどだ。自販機の存在も把握しており、全国でも他に例がないとみられる。東京在住の同社広報担当者は「個人的にも沖縄へ行った際は冷えたキャンベル缶を購入してみたい」と胸を躍らせる。

 全国的にも珍しく、話題を集めるキャンベル缶の自販機販売。砂川さんは「まだスペースがあるから、スープの種類を増やそうかな」と楽しそうに話した。  

(仲村良太)