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人種でワクチン優先度を決めるべきか、各州に難題 【WSJ厳選記事】


北米

By Ian Lovett and Jimmy Vielkind
2020 年 12 月 28 日 04:44 JST 更新プレビュー




 米国の黒人やラテン系の住民は、白人の2倍以上の割合で新型コロナウイルスによって死亡している。各州は今、最も打撃を受けたこれらのマイノリティーが平等に――場合によっては優先的に――ワクチンを受けられるようにすると約束している。

 だが、ファイザーとモデルナのワクチンが全国で投与され始める中、これらのコミュニティーにいつどのようにワクチンを利用できるようにするのかを巡り、各州は依然頭を悩ましている。

 ワクチンがより広く配布されるようになったときに有色人種の市民が取り残されないようにするため、積極的な支援活動に力を入れている州もある。

 ノースカロライナ州は、黒人とラテン系のコミュニティーに支援の手を差し伸べるために広告会社を雇った。ニューヨーク州は聖職者や保健当局者、公民権擁護活動家で構成されるタスクフォースをつくった。その狙いは、効果的なワクチン配布に必要な洗浄用品や注射器が低所得者層の住む地区に確実に届くようにするなどして、支援することだ。

 他の州はさらに一歩進んで、コロナの被害を最も大きく受けたグループがより早くワクチンを接種できるようにすべきだとしている。

 コロラド州はワクチン接種計画の中に制度的な人種差別を巡る認識を書き込んでいるが、どのような対応を取るかについて当局者はまだ明言していない。カリフォルニア州の計画には、他のグループに先駆けてワクチンを接種できる可能性のある「重要な住民」に人種的・民族的少数派のグループが含まれている。

 米国公衆衛生協会のエグゼクティブ・ディレクター、ジョルジュ・ベンジャミン氏は、各州は最もリスクの高い人々にワクチンの初期接種を集中させるべきだと述べる。これにはマイノリティーのグループも含まれるが、人種だけを理由にワクチンを早期に接種することは避けるべきだという。

 むしろ持病を持っている人や多世代世帯に住む人のような最もリスクの高い人たちが、より早くワクチンを受けるべきだとベンジャミン氏は主張。そうすれば実際には、高リスクグループの中に比較的多い人種的マイノリティーが恩恵を受けるとしている。

 「人種に敏感になる必要はあるが、よりリスクが高い人を排除しないようにしなければならない」

 複数の州の当局者によると、最初の課題は、英語を話せない人を含むマイノリティーグループにワクチンに関する情報を提供することだ。米疾病対策センター(CDC)の報告書によると、黒人やラテン系、先住民系の住民は白人やアジア人よりインフルエンザワクチンの接種率が低い。無保険の人が多いことも一因だという。

 新型コロナウイルスワクチンは、保険の有無にかかわらず無料で提供される。しかし差別されてきた歴史があるため、マイノリティーの中には最初に接種を受けることに慎重な人もいる。差別の有名な例として、米公衆衛生局が1930年代からアラバマ州の黒人男性を対象に、未治療の梅毒の影響を調査したことがある。治療法が発見された後も、これらの男性は治療されなかった。

 8月と9月にカイザー・ファミリー財団が行った調査では、科学者がワクチンを安全だと判断しても、黒人の約半数が恐らく接種したくない、または絶対に接種したくないと答えた。白人とヒスパニック系の大多数は接種すると答えた。




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