還暦超え撮り始めた闘牛 恋しさ募って15年 写真集2冊に小説も出版 新垣フミ子さん


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自身が出版した闘牛写真集や小説を手に笑顔を見せる闘牛写真家の新垣フミ子さん。手前の写真は「おきなわ・那覇の観光写真コンテスト」で琉球新報社長賞に輝いた「血走る目と目」=12月26日、南風原町

 試合で見せる荒々しい表情、勝った後にしっぽを振りながら喜ぶ様子、牛舎での穏やかな雰囲気も「全て大好き」。うるま市屋慶名出身の闘牛写真家・新垣フミ子さん(76)=南風原町=は闘牛を撮り続けて、ことしで15年目になる。琉歌も詠む新垣さん、ここで一首。「心和ませる かりゆしぬ牛や 世間御万人に 福ゆ招ち」(心穏やかにする、めでたい牛は万人に福を招く)

 60歳を超えて新しい趣味を見つけようとカメラを手に取った。「せっかくなら小さい頃からなじみのある闘牛を」と始めた闘牛写真は今やライフワークだ。

 習い始めて3カ月目で出展した「おきなわ・那覇の観光写真コンテスト」(2006年)では、琉球新報社長賞を受賞。「ただでさえ好きだったのに、さらに闘牛から離れられなくなったね」と笑う。その後、写真集も2冊出版し、写真展の開催は昨年までに12回を数える。

 2016年には初の小説「闘牛への道」を自費出版した。「牛から学ぶことが本当に多くて、いつまでたってもとりこだよ」

 昨年11月に1年ぶりに開催された全島闘牛大会では、もちろん最前列でカメラを構えた。従来、試合後に涙を流すことはあったというが、「待ちかんてぃーして(待ちわびて)、恋しさが募りまくった」せいか、はたまた好勝負のせいか試合中も涙が止まらず。「全然良い写真が撮れなかったね」と苦笑い。

 写真を撮り始めた15年前と比べ、女性客や家族連れ、外国人も増えるなど観客層はがらりと変わったという。「一度見たら、間違いなくとりこだからね。一度行ってみるべきだよ」と繰り返す。今年もぎゅーっ(牛)と魅力が詰まった一こまを目指しシャッターを切る。

(新垣若菜)