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サウジの自主減産、原油市場には負の側面も 【WSJ厳選記事】


HEARD ON THE STREET

世界の原油生産の方向性を巡るロシアとの主導権争いで、サウジの勢いが相当弱まったとの見方も

By Jinjoo Lee
2021 年 1 月 6 日 12:55 JST 更新プレビュー


――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 やる気のないパートナーをなだめるには、時には多くの油が必要になる。

 サウジアラビアは5日、石油輸出国機構(OPEC)およびロシアなど非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」の会合を終えた後、2月と3月に自国の原油生産量を自主的に日量100万バレル削減する方針を表明した。

 最も寛容な解釈をすれば、サウジの行動は度量の大きさを示したものだ。OPECプラスのメンバーの苦しい状況を理解し、善意のジェスチャーを表そうとした。より現実的な読みをすれば、世界の原油生産の方向性を巡るロシアとの主導権争いで、サウジの勢いが相当弱まったとの見方もできる。

 サウジのエネルギー相、アブドルアジズ・ビン・サルマン王子は5日の記者会見で、一方的に行った決定であることを強調した。だが同時に、サウジが減産表明することをロシアは知っているとも述べた。

 サウジの大規模な産油能力からしても日量100万バレルはかなりの犠牲だ。同国にとって通常の産油量の約9%に相当する。またこれは、サウジとロシアが足並みをそろえる従来の路線からの脱却を象徴する数字でもある。両国はこれまで同規模の減産に取り組んできた。

 OPECプラスの協調減産を巡り、ロシアは日量50万バレルの増産を望んでいた。ロシアとカザフスタンはそれぞれ今後、緩やかに産油量を増やしていくだろう。サウジの減産によって、OPECプラス全体では2月と3月に日量800万バレル強を減産することになり、1月の日量720万バレルから減産幅は拡大する。

 確かにこのニュースは原油価格に意図した効果をもたらした。ブレント原油先物の期近物は急伸し、昨年2月以来の水準となる1バレル54ドル近くに達した。

 だが一方、サウジの決定で大いに不安なシナリオが浮かび上がった。ロシアが交渉のテーブルを離れる事態にどれほど近づいていたかを示しているかもしれないからだ。サウジの譲歩は、同国の経済的脆弱(ぜいじゃく)性が深まっていることの表れだ。さらに言えば、サウジが考える原油需要の見通しは実際、暗いのかもしれない。新型コロナウイルス予防ワクチンの接種が予想より遅いペースで進む中、OPECプラスの4月の動きを決める次回会合の話し合いが円滑に進むかどうかは全く不透明だ。

 原油相場の強気筋には素晴らしい一日だった。だが、パーティーは長く続かないかもしれない。




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