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政権末期トランプ氏、懸案は「造反と弁護団」【WSJ厳選記事】


北米

ホワイトハウス退去と上院弾劾裁判に向け準備

By Rebecca Ballhaus and Alex Leary
2021 年 1 月 18 日 10:20 JST 更新プレビュー


 【ワシントン】2度にわたって弾劾訴追された米国史上初の大統領となった直後、トランプ大統領は政治担当の補佐官を集め、弾劾決議案に賛成票を投じた10人の共和党議員についてもっと情報を出すよう迫った。

 この会合に詳しい複数の関係者によると、トランプ氏はこれらの「造反者」が何者で、自分はこの10人に貸しがあるかを知りたがった。2年後の下院選でこれらの議員の対立候補になる可能性のある人物についても尋ねたという。

 側近によると、トランプ氏は共和党内での離反の動きにますます神経をとがらせている。党内の支持が行方を左右する上院での弾劾裁判に向けて弁護方針を組み立てなければならないが、前回弾劾されたときと比べて、今回は法曹界や政界で大統領を支持する人ははるかに少ない。事情に詳しい関係者によると、トランプ氏はここ数日、数人の共和党議員に電話をかけ、誰に弁護を依頼するべきかを相談しているという。前回の弾劾裁判で弁護を担当した顧問弁護士や、ホワイトハウス法律顧問のパット・シポロン氏は弁護団に参加するつもりはないと周囲に明かしている。

 補佐官らは大統領に対し、事実に忠実でいられる経験豊富な代理人が必要だと訴え、大統領選の結果を覆すための運動を主導した顧問弁護士のルディ・ジュリアーニ氏を選ばないよう強く求めている。

 ある関係者によると、一部の補佐官は保守派の憲法学教授のジョン・イーストマン氏を弁護人として検討しているという。イーストマン氏は6日の大統領選の結果の認定プロセスを巡り、ペンス副大統領には特定の選挙人の票を集計から外す権限があるとトランプ氏に進言した数少ない法律の専門家の一人だ。

 トランプ氏は退任と同時に、共和党に対する影響力の少なくとも一部を失うことになる。弾劾訴追には10人の共和党議員が賛成したが、大統領の政党からこれほど多くが弾劾支持に回ったことはなく、6日の連邦議会議事堂乱入事件が党内に深い亀裂を残したことがうかがえる。

 クイニピアック大学が今月7日~10日に実施した世論調査によると、乱入事件後、トランプ氏を罷免すべきだと考える国民は過半数に上った。一方で、共和党を支持する有権者の71%はトランプ氏の大統領としての仕事ぶりを評価した。共和党はこうした状況に対応しなければならない。

 側近によると、トランプ氏はバイデン氏の大統領就任式が行われる20日の朝にホワイトハウスを出てフロリダに向かう見通し。その後、スタッフはバイデン一家の入居に向けて大急ぎで準備を進める。一般調達局(GSA)は新型コロナウイルス対策の一環として、ホワイトハウスを隅から隅まで、ドアノブに至るまで清掃・消毒する。トランプ氏の任期が正式に終了するのは20日の正午だ。

 トランプ氏を見送る儀式については、計画がまだ固まっていないが、側近によると、アンドルーズ空軍基地で正式な離任式が行われる見込みで、フロリダでは大勢の人が集まり、トランプ氏を出迎える可能性がある。

 トランプ氏に近い支持者の中にも、完全に避けられた危機が起きたのは大統領選敗北への対応がまずかったためだと話す人もいる。在任時の功績に影を落とし、今後は事業や政治で何を目指すにしても難しくなるだろうという。

 トランプ・オーガニゼーションは既に議事堂乱入事件の影響を受けている。全米プロゴルフ協会は来年の全米プロ選手権をニュージャージー州にある同社のゴルフ場で開催する予定だったが、契約の打ち切りを決めた。関係者によると、トランプ氏は協会の決定に激怒したという。

 補佐官らは大統領の様子について、不機嫌で、議事堂乱入事件を残念がっていると話すが、大統領は事件の扇動には関わっていないと発言している。側近の多くは心機一転して出直す準備はできていると話す。

 トランプ氏は11日、大統領自由勲章を共和党のジム・ジョーダン下院議員(オハイオ州)に授与した。ジョーダン議員はトランプ氏が初めて弾劾されたときに最も声高に大統領を擁護した議員の一人だ。

 大統領はこの日、ペンス副大統領との関係改善にも乗り出した。議事堂乱入事件の最中、トランプ氏は選挙結果を覆すのに協力しなかったとしてペンス氏をツイッター上で攻撃した。事件後5日間、2人が言葉を交わすことはなかったが、大統領が11日にペンス氏を会談に招いた。

 ある補佐官によると、大統領はホワイトハウス内でのペンス氏への忠誠心の高さに衝撃を受けたという。

 ペンス氏は何週間も前から大統領との対決を想定していた。関係者によると、ペンス氏のチームは大統領選前から、大統領選の結果を認定する議会審議に関して副大統領にどのような権限があるか、弁護士に相談していた。11日にトランプ氏と会談してから、ペンス氏は、話ができたことはうれしいが、このようなことになって悲しいと補佐官に話した。

 大統領は12日にテキサス州アラモを訪問した。残りの任期は実績に集中するよう支持者から強く求められたためだ。しかし大統領は現地での演説の半分を、弾劾を求める民主党に対する非難と、トランプ氏のアカウントを永久停止したツイッターと次期政権への不満に費やし、残りで移民政策について語るにとどまった。

 13日、下院はトランプ氏の弾劾訴追決議案を可決した。ツイッターのアカウントを停止されたトランプ氏は補佐官に電話で怒りをぶちまけるしかなかった。ツイッターが使えず、造反した共和党議員を非難する手段もなかった。

 ホワイトハウスは2019年には、トランプ氏の弾劾に反対するよう共和党議員に積極的に呼びかけ、下院共和党議員が一人も弾劾支持に回らなかったことを称賛したが、今回は関与していない。

 ただ上院での弾劾裁判を前に、大統領は共和党の支持を強化するための手を打ち始めた。共和党のミッチ・マコネル上院院内総務(ケンタッキー州)はトランプ氏に有罪票を投じる可能性を残しているが、民主党が17人の共和党議員を有罪支持に回るように説得するのは容易ではないだろう。

 トランプ氏は13日に動画を公開し、議事堂乱入事件をはっきりと非難すると述べた。関係者によると、原稿を書いたのは、トランプ氏に法的リスクを警告したホワイトハウス法律顧問のシポロン氏だった。

 トランプ大統領はひそかに、任期終了までにどのような恩赦を与えることができるか検討を続けており、補佐官に電話で意見を求めている。側近によると、ホワイトハウスは大統領の退任までに数十人の恩赦を発表するとみられる。側近は、その中にジュリアーニ氏やトランプ氏の子ども、本人の恩赦が含まれるかは分からないと話した。




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